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3. 調査の内容
(1)平成15年度調査結果の総括
 平成15年度に鹿児島県を対象として実施した調査結果を総括するとともに、全国における交通バリアフリー化の現状や法制度・補助制度等の概要について、最新動向を踏まえたフォローアップを行う。
 
(2)対象地域における交通バリアフリー化の現状
 対象地域の各離島の概況、高齢者・障害者等の状況、交通の現状、交通バリアフリー化の現状を整理するとともに、離島航路の類型化を行う。
 
(3)地方自治体・交通事業者へのアンケート調査
 対象地域の県庁、各離島の市町村、離島航路やその端末交通手段(バス・鉄道)を運営する交通事業者を対象にするアンケート調査を実施し、船舶、港湾、各種交通機関のバリアフリー化の実態や今後の取り組み意向を把握する。
【調査対象】
・地方自治体:対象地域の各県、対象地域の離島を有する各市町村
・対象地域の離島航路を運営する交通事業者およびその端末交通(離島内および本土側)を担う交通事業者
【調査方法】
・郵送留置法
【調査項目】
・属性
・高齢者・障害者等の利用状況
・船舶、港湾、端末交通手段のバリアフリー化の現状と問題点
・交通バリアフリー化への取り組み意向とその課題
・交通バリアフリー化に向けた自由意見
 
(4)住民へのアンケート調査
 各離島の住民に対するアンケート調査を実施し、島別・市町村別、属性別(年齢、性別、身体の状況等)・類型別に集計・分析する。なお、実施にあたっては、対象者の抽出、調査票の配布・回収等において、関係自治体、障害者団体、交通事業者等の協力を求めるとともに、調査結果を還元する。
【調査対象】
・対象地域の離島住民約1,200人
【調査方法】
・郵送留置法
【調査項目】
・属性(居住地、年齢、性別、身体の状況、家族構成等)
・島外への外出行動の現状(外出回数、目的、目的地、同行者、交通手段等)
・離島航路利用時の問題点
・離島航路の船舶・港湾・端末交通手段に求められる改善点
・離島航路がバリアフリー化された場合の外出行動の変化
・交通バリアフリー化に向けた自由意見
 
(5)ケーススタディの実施
 (2)で行った類型化に基づき、各類型の代表的な離島・航路(1〜2箇所)をモデルケースとして、地方自治体・交通事業者や離島住民へのヒアリング調査および現地調査を実施し、バリアフリー化の実態や住民ニーズを詳細に把握するとともに、住民ニーズを踏まえた交通バリアフリー化の方向性および推進方策を検討する。
 
(6)バリアフリー化により期待される効果
 アンケート調査結果やケーススタディ結果に基づき、バリアフリー化が実現した場合に期待される効果について検討する。
【期待される効果の例】
・外出回数の増加
・外出の自由度の増加(同行者なしでの外出)
・外出費用の低減(海上タクシーから一般航路への転換、タクシーからバスへの転換)
・医療・福祉との代替効果(入院や医師の巡回による治療から、通院治療への転換) 等
 
(7)交通バリアフリー化の推進方策と課題
 これまでの検討結果を踏まえ、対象地域における離島住民のニーズを踏まえたシームレスな交通バリアフリー化の方向性および推進方策を検討し、離島の各類型に即してケーススタディ結果の一般化を試みるとともに、その実現に向けた課題を整理する。
 
1. 交通バリアフリー化に関する法制度
 「高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(以後「交通バリアフリー法」)は、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性・安全性の向上を促進することを目的として、2000年5月に成立した。ここでは、同法を中心に、対象となる交通機関や施設・車両等、交通事業者の講ずべき措置、国や地方公共団体の責務について整理する。
 
(1)交通バリアフリー法の概要
(1)法律の趣旨
 交通バリアフリー法は、高齢者、身体障害者等の自立した日常生活および社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、以下の措置等を講ずることにより、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性および安全性の向上の促進を図り、もって公共交通の福祉の増進に資することを目的としている。
 
・公共交通機関の旅客施設および車両等の構造および設備を改善するための措置
・旅客施設を中心とした一定の地区における道路、駅前広場、通路その他の施設の整備を推進するための措置
 
(2)法律の対象
1)対象交通事業
 鉄軌道事業、バス事業、海上旅客運送事業、航空運送事業等の公共交通事業。
 
2)対象となる旅客施設
 鉄軌道駅、バスターミナル等の公共交通機関を利用した輸送に係わる旅客施設。海上旅客輸送に関しては、旅客船ターミナル等が該当する。
 
3)対象となる車両等
 鉄軌道車両や自動車、船舶、航空機等の公共交通機関を利用した輸送に用いられる車両。
 
(3)法律の基本的枠組み
 同法の基本的枠組みは、図2-1-1の通りである。
 
図2-1-1 交通バリアフリー法の基本的枠組み
資料)国土交通省ウェブサイトよりUFJ総合研究所作成







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