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7 阿部正弘と日米和親条約の評価
 阿部正弘や日米和親条約に対する評価は、その視点によって大きく分かれる。そこには、評価する側の背景となる時代や立場の違いが見られる。
 阿部正弘に対する歴史的評価の違いは、評価の対象をペリー来航までの海防政策に重点を置くか、ペリー来航以降の政治改革に重点を置くかと関連している場合が多い。同時代の人々の評価は、ペリー来航以前は総じて悪くなかったが、ペリー来航への対応については評価が厳しくなる。
 幕末の動乱の出発点は、ペリー来航にあると当時から認識されていた。その動乱の末に発足した明治政府は、和親条約後に締結された不平等条約の改正に苦しんでおり、幕末の外交政策に否定的なのは当然のことであった。こうして近代において、幕府外交無能論が形成された。
 一方で、和親条約が開国の第一歩となり、日本を近代へ導く道を開いたとも評価されている。この評価はアメリカでは特に強く、以後の日米関係の歴史にも反映されている。
 
97. 犬塚正陽宛井伊直弼書状(部分)
 
98.  福山御城に向い御仁政を仰ぎ奉る之図(「菅波信道一代記」)
 
99. ペリー提督日本遠征記
 
100. 福山藩国事関係録







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