日本財団 図書館


5.2 応答符号の評価結果
(1)評価方法
 遅延合成方式の新マイクロ波標識について、試作したデジタル遅延合成回路を使用して実験により評価検証を行うための方法と、その状況について述べる。
 実験評価にあたっては、次の事項を前提として検討を行った。
 
(1)対象とするレーダーは、特に試作等を行わない。
:考えられるすべての方式のレーダーを試作することは現実的でないため。
(2)新マイクロ波標識システムについては、空中線、高周波部分を除き、ベースバンドに周波数変換された後の部分から、試作した回路を用いて実験を行う。
:レーダーを試作しないため、特に高周波で信号を扱う必要がないため。
(3)汎用計測器等を使用してベースバンドに変換された信号を模擬し、遅延合成回路には、これをアナログ信号として入力する。
:実際のシステムにおいてもアナログで扱われる可能性が高いため。
(4)新マイクロ波標識の応答信号は高周波に変換せず、ベースバンド信号のまま評価を行う。なお、出力はアナログ信号とする。
:特に高周波で取り扱う必要がないため。また、出力はオシロスコープ等で波形観測ができるようにアナログとした。
(5)レーダーを試作しないため、アナログの新マイクロ波標識の応答信号をコンピュータで取り込み、演算上でレーダーの復調処理を模擬して応答波形の評価を行う。
:パルス圧縮波形やFM-CW波形は、復調処理を行わないと応答信号の波形が確認できないため。
 
 以上を前提とした実験評価系統の模式図を図5-8に示す。同図の評価系統は、大きく4つの部分に分類される。「(a)レーダー波模擬」は、レーダーから送信された電波がビーコンで受信され、ベースバンドに周波数変換されるまでの部分を示しており、実験においては汎用計測器のベクトルシグナルジェネレータを使用して信号を模擬している。「(b)遅延合成処理」は、試作した回路の部分であり、本実験の中心を成す部分である。ここでは、(a)で模擬されたアナログ信号を入力し、遅延合成処理された信号をアナログ信号として出力する。「(c)出力波形観測」では、遅延合成処理されたアナログ出力をオシロスコープで観測し、シミュレーションで得られた結果と比較検証するとともに、波形を電子媒体等に記録する。「(d)波形復調」では、(c)で記録されたデータをコンピュータに取り込み、レーダーで行われる復調と同様の処理を行うことによって、実際にレーダーで得られる応答符号波形の検証を行う。これらの実験系を実際に構築した様子を図5-9に示す。
 以上の系統により、遅延合成方式の評価を行った。なお、表5-1は評価項目の一覧であり、これらの全データについては付録に記載した。
 
図5-8 実験評価系統の模式図
 
図5-9 実験評価の状況
 
表5-1 評価項目の一覧







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION