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2002/11/01 読売新聞朝刊
カジノ構想 経済効果、最大2200億円 都が試算、1万4000人の雇用創出
 
 “カジノ効果”は最大二千二百億円――。カジノ構想を進める都は、海外のカジノの実態や、都内にカジノができた場合の経済効果などを調査した報告書をまとめた。
 報告書は、カジノ施設の形態として、〈1〉単独のカジノハウス〈2〉カジノハウス周辺にホテルや映画館などがある〈3〉カジノのあるホテル〈4〉カジノハウスとカジノホテル、映画館などの商業施設を複合的につくる――という四つのケースを想定。海外のカジノの事例を参考に、経済波及効果などを試算した。
 その結果、最も効果の大きい四番目の複合施設ならば、一万四千人の雇用を創出し、カジノ収益は年間で九百十億円、関連産業など誘発する生産額は二千二百四十六億円、税収も二百二十一億円に上ると試算している。効果が最小である単独カジノのケースでも、年間三百億円の収益が上がり、生産誘発額は七百四十億円が見込まれるという。
 また報告書によると、世界で百三十二の国と地域がカジノを認めている。米国がカジノホテル主体で、利用者は大衆的であるのに対し、ヨーロッパ諸国では温泉などの保養地にカジノハウスがあり、比較的所得の高い層が利用するという特徴がある。
 カジノの売り上げにかける税金は、米国ではニュージャージー州の8%、イリノイ州の15―35%などと低いが、ヨーロッパではドイツの80%、オーストリアの35―80%など高い例が多い。アジアやオセアニア地区では、島や海岸などに、外国人向けのカジノホテルがあるケースが多いという。
 調査では、雑誌編集者やシンクタンク研究員など有識者五人に意見を求めた。プラス効果として「新産業育成の刺激剤になる」「年配者の遊び場が出来る」などが挙げられ、マイナス効果としては「闇勢力が入ってくる」「ギャンブル依存症で家庭崩壊などの問題が出てくる」などの指摘があった。
 
 
 
 
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