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1998/03/10 毎日新聞地方版
公営競技、曲がり角 船橋競馬と船橋オートレース、“ドル箱”一転、客激減/千葉
 
◇ゼロ配当、財政を圧迫
 船橋市内にある船橋競馬場と船橋オートレース場で、バブル崩壊以降の入場者の落ち込みが激しく、回復の糸口が見いだせないでいる。主催者の県、船橋市、習志野市が競馬から得る収益は1992年度以降、ゼロ。今年度もゼロ体質から抜け出せそうにない。また船橋オートレース場(県、船橋市主催)も同様に収益が薄く、正念場を迎えている。
 競馬は3自治体が県競馬組合を設立して運営。オートの場合は県と船橋市がそれぞれ交互に主催している。各自治体は、収益配当を福祉教育事業の予算として活用してきた。
 競馬組合の場合、91年度に、3自治体へ合わせて7億1078万円の収益配当を出したのが最後。92年度からは毎年10億円前後の赤字を出し、内部留保の競馬事業経営安定化基金を取り崩し補てんしてきた。しかし、基金も95年度に底をつき、現在は金融機関からの一時借入でしのいでいる。
 オートの場合も事情は同じ。県が受け取る収益配当は93年度の29億4080万円をピークに94、95、96年度とゼロが続き、今年度はようやく1億3100万円を見込むだけ。船橋市でも92年度の20億円をピークに、94年度から5000万円とゼロを繰り返し、今年度もゼロの見込みだ。
 バブル崩壊までは右肩上がりで売り上げを伸ばし、自治体の財政にも貢献してきた公営競技だが、現在は全国的に低迷傾向にある。
 客足が遠のき売り上げが急激に落ち込んだ今、公営競技は、人件費や事業開催費、地方競馬全国協会・公営企業金融公庫への納付金など固定費が大きく、主催自治体の財政を圧迫している。
 対策として競馬組合は、高配当の連勝単式馬券を一昨年に導入したり、場外馬券売り場の拡充を図るなど盛り上げに懸命。オートも、4月から全国6レース場で一斉に、8車6枠制を8車8枠と射幸性を高め、人気低落に歯止めをかけようともくろむ。
 実施者側は「主目的の自治体への配当は出せていないが、雇用などで地域経済には貢献している」と存在意義を強調するが、来年度も自転車操業が続きそうだ。
【若井耕司】
 
 
 
 
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