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私はこう考える【公営競技・ギャンブル】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/11/07 朝日新聞朝刊
伊勢崎オートレース(公営ギャンブルを歩く:1)/群馬
 
 「大穴狙いだよ――」「私の予想に任せて!」
 10月、伊勢崎オートレースの開催日。レース直前の場内車券売り場前の通路は、まるでせりの場立ちだった。
 声を張り上げている「予想屋」と呼ばれる30人ほどのなかに「青ちゃん」はいた。
 「3番のエンジンは遠征期間が長くて疲れてるから調子が落ちるよ。やっぱり、かあちゃんのそばにいるのが一番。みなさんもそうでしょう」
 
 青ちゃんこと、青木和弘さん(55)。76年の伊勢崎オートレースの開場以来、ここで「予想」をなりわいにしてきた。見極めるのはエンジンの調整・整備を含めた選手の技量や精神状態、当日の天候・・・。当たりもあれば外れもある。が、「予想の基本は変わらない。変わったのは客層かな」
 バブル景気に世の中が沸いた91年度、同レースの1人あたりの車券購入額は、過去最高の6万200円(開催日1日平均)を記録した。それ以後、バブル景気崩壊とともに下降傾向となり、昨年度は3万5900円まで落ちた。
 「昔は事業主といった羽振りの良さそうな人が多かったが、今はアベックなど若い人が増えた。今のオートレースは、ギャンブルではなくレジャーだな」
 
 車券の発売開始。青ちゃんの声はひときわ高くなる。3通りの1、2着の予想が書かれた黄色の紙片を手に「さあ、特ダネだよ!!」。縁日の屋台のような「予想台」の前は80人以上もの人だかり。カップルや若い女性たちも交じって次々手が伸びる。「はい、おめでとう」。1人また1人と差し出す100円玉が紙片に替わる。最初に用意した30枚は瞬く間になくなった。
 レースが始まる直前、観客席に立った。大半のレースは500メートルのバンク(コース)を約6周して競う。実績のある選手は10メートル刻みにスタート位置を下げるハンディがある。
 伊勢崎市内の男性(31)は「時速160キロのオートバイが、ゴールまでに150キロのオートバイを抜けるのか、逃げ切られるのか。それを予測していると、見ているだけでも面白い」と話す。
 8車が一斉にスタートを切った。エンジンの爆発・燃焼で噴出された爆音が全身を打つ。
 「この迫力がたまらない」。興奮の声をあげていたのはスタート地点の近くにいた東毛の主婦2人。「音とスピードを楽しむ。それにちょっとお金をかけておこづかいを増やせればなおいい」
 第3レースから観戦していながら第7レースまで車券を買わなかった男性は「無駄遣いはしません。買うのは、納得のいく予測ができたときだけ」
 
 今はバブル時代とは異なる。でも、青ちゃんの目には「上州の人は気っぷがいいからたくさんかける。勝つと気持ちが大きくなり、もっと大金をつぎ込む」と映る。だから、もうかった人には「明日は、今日と同じ金額以上は持ってくるなよ」と一声かけるという。
 そういえば、青ちゃんは客にこんなことも言っていた。「オートレースは長くかけ続けたら絶対勝てないよ。100円の車券でちょっとした『夢』を買う。そんな気持ちでいて欲しいんだ」
 
 オートレース、競輪、競艇、競馬。群馬は公営ギャンブルがすべてそろう全国でも珍しい県だ。不況で逆風下にあるとされる各競技場を歩き、その変わりようを探った。
<伊勢崎オートレース>
 73年の大井オートレース(東京都)廃止にともない同年、伊勢崎市議会で移転誘致を決議。76年にオープンした。
 89年、夏のナイター開催を始め、若者層などの客が伸びたという。ナイターは現在、全国の6場中で唯一の開催だ。
 91年度に売上額が600億円を超え、入場者も100万人に達した。だが、売り上げは同年度をピークに低迷。99年に新潟県堀之内町に場外車券場をオープンさせたが、昨年度の売り上げは約317億円(入場者88万人)まで落ち込んだ。昨年度の決算は、開場以来初となる約2億6千万円の赤字。同市の一般会計への繰出金もゼロになった。
 
 
 
 
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