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2000/07/14 朝日新聞夕刊
沖縄、カジノに熱視線 サミット後はこれにカケる(報!)【西部】
沖縄で、カジノをつくる構想に熱い視線が集まっている。地元の民間シンクタンクが具体案を打ち出したのに続いて、今月の県議会でも取り上げられた。観光客の誘致と財政難の解消、雇用創出という「一石三鳥」の起死回生策だ。むろん立ちはだかる壁は厚い。犯罪が増えはしないかという懸念、とばくを禁じた刑法。だがサミット(主要国首脳会議)という世界の祭典が終わった後も、人々を引きつける魅力がほしいという。カジノ構想は動き出すのか。
(経済部 海東英雄、神谷毅)
今月四日の県議会。カジノ構想についてただされた稲嶺恵一・沖縄県知事は「新たな沖振法(沖縄振興開発特別措置法)の制定に向けて、広く各界各層の意見を聞きながら検討していきたい」と答弁した。これで構想がにわかに現実味をおびてきた。
構想に火をつけたのは地元経済界が会員となっている民間シンクタンクの南西地域産業活性化センター(会長、仲井眞弘多・沖縄電力社長)。今春、「導入を検討すべきだ」とするリポートをまとめた。
それによると、競馬や競艇、各国のカジノを参考に、スロットマシンなど五百台をそろえた中規模カジノで年間八十一億円の売り上げが期待できると試算。経費を引いた年間の利益四十四億五千五百万円のうち、二十億二千五百万円を税収に、十二億千五百万円を福祉や地域開発などへの助成に回す――。
リポートをまとめた中山行輝・前同センター上席研究員は「ホテルやレストランを併設すれば、大きな雇用機会にも恵まれる」と効用を説く。
沖縄本島中部・中城(なかぐすく)新港。毎週火曜日に入港する台湾からの大型豪華客船「スターアクエリアス」は、沖縄にとって最も近いカジノだ。公海に出れば、乗客は台湾元を元手に、ルーレットやバカラ、ブラックジャックを楽しめる。
沖縄で船会社の代理店を営む松田美貴さん(四二)は「国際的なクルーズはもちろん、リゾートにカジノはなくてはならないエンターテインメントです」という。
沖縄は国際的なリゾートをめざしている。ここ数年は「沖縄ブーム」とはいえ、航空運賃の値下がりという事情が大きい。低価格のパック旅行が増え、地元は「利益なき繁忙」を強いられる一方、観光客の使うお金は一人当たり約十万円と十数年も横ばいのままだ。
崎間晃・那覇商工会議所会頭は「サミット効果がなくなる将来を見すえて、沖縄の魅力づくりを真剣に考えないといけない」と危機感を募らせる。
カジノ導入論は実は初めてではない。かつて地場ゼネコンの国場幸一郎・国場組相談役(六七)が、地元の民放テレビでいまの稲嶺知事とカジノ導入の論陣を張った。だがゼネコン首脳の発案に「仕事がらみに違いない」との憶測が流れ、立ち消えになったいきさつがある。
今回は援軍がいる。
「競輪、競馬が良くて、なぜカジノがだめなのか。人も集まるし、収益で都も潤うじゃないか」。東京都の石原慎太郎知事は、臨海副都心のお台場にカジノを整備する構想を打ち出した。都有地の売却や大手金融機関に対する外形標準課税と並ぶ財政再建策の一環だ。愛知県知多市では二〇〇五年の中部国際空港の開港をにらんだ地域開発構想に、カジノホテルを盛り込んだ。
実現には稲嶺知事の答弁のように、なによりも沖振法に盛り込むなりしてカジノを合法化する国会の手続きが必要だ。暴力団の介入を招かないか、青少年への悪影響はないか、など論ずべきテーマは尽きない。
大阪商業大学の谷岡一郎学長(ギャンブル社会学)は「人口が増えると犯罪は増えるが、カジノができたからといって犯罪発生率が増えるわけではない。偏見を捨てて議論してもいいのではないか」と話しているのだが・・・。
<カジノ>
日本ではとばくを禁じた刑法に触れる違法行為。競馬や競輪などの公営ギャンブルはその例外で、畜産や自転車など機械工業の振興、地方財政の健全化などをねらいに特別法が制定され、違法性が除かれている。サミット参加国(G8)でカジノが全面的に禁止されているのは日本だけ。
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