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2000/05/13 朝日新聞夕刊
公営ギャンブルは火の車 赤字、税金で穴埋め
地方自治体が運営する公営ギャンブルの経営悪化が、自治体を悩ませている。かつては病院建設や下水道整備にあてる資金を稼ぐ「打ち出の小づち」だったが、最近では赤字経営が続出。赤字の穴埋めに税金をつぎ込む自治体も出始めており、お荷物的存在にすらなりつつある。
(経済部・小陳勇一)
「予算をできるだけ残すように」。東京都青梅市役所内に財政課の通知が回ったのは昨年秋ごろだった。市は市営競艇からの収入を下水道整備にあてる予定だったが、年度途中になって競艇収入が見込めないことが判明。下水道整備に必要な八億円は一般会計から出すことになり、市の職員は備品購入を見送るなど節約を余儀なくされた。
公営ギャンブルは自治体単独や、複数の自治体による組合で運営されている。売り上げの七五%を投票券購入者へ配当し、残り二五%から賞金や経費などを差し引き、最後に残った分が主催自治体の収入となる。青梅市の場合、バブル前でも毎年五十億−六十億円、ピークだった一九九一年度には百億円が市の収入となるなど、下水道整備を支えてきた。が、長引く不況の影響で、九九年度はついに赤字になった。
朝日新聞社の調べでは、公営ギャンブル全体の九八年度の売り上げは、ピークの九一年度に比べ三割ダウン。経費などを差し引いた自治体の収入も落ち込む一方で、九八年度は全国百五十九の主催団体のうち五十九団体で自治体の収入がゼロとなった。北海道、栃木県足利市、宇都宮市(いずれも競馬)など十七自治体は過去の積立金を取り崩しても赤字を解消できず、自治体が税金で補てんした。
愛知県一宮市の一宮競輪場で三月三十一日、谷一夫一宮市長と、同県岩倉市など尾張七市三町競輪組合の各首長らが顔をそろえた。同競輪場で競輪を開催してきた組合はこの日限りで事業から撤退し、四月からはこれまで別々に競輪を開催してきた一宮市に肩代わりしてもらう。そのあいさつのためだった。
ここ数年、競輪では撤退が相次いでいる。事業を断念したのは九六年度以降、全国で八団体。撤退した市町村の数は七十にのぼる。
しかし、やめるのも簡単ではない。九六年度に競輪から撤退した福岡県内五市は、出場機会を失った補償として選手から十三億六千万円の支払いを求められ、裁判で争っている。こんな事情もあって、撤退する自治体が肩代わり先を見つけるのが慣例になっている。
肩代わりしてもらうには「持参金」も要る。年に六回開催してきた尾張七市三町競輪組合は、従業員約八百二十人の将来の退職金の一部、約十一億円を一宮市に払うことになった。
百億円を超す累積赤字を抱えた北海道営競馬も、廃止論が出ている。だが、北海道には千四百戸に上る競走馬の生産農家があり、売れない馬を道営競馬に出走させて賞金を稼ぐ農家も多い。産地のことを考えると簡単にやめるわけにはいかないのが実情だ。
○官僚の天下り、受け皿は健在
競輪を主催する全国三十九市がつくる全国競輪都市協議会(会長・原のぼる大阪府岸和田市長)は昨年十月、赤字の場合は日本自転車振興会への交付金を免除するよう通産省に要望した。
各競技の主催団体は、赤字であっても売り上げの一−四%程度を全国団体に納めることが法律で決まっている。使途は、自転車など機械産業や畜産の振興、社会福祉の充実などとされ、自転車産業を所管する通産省は「刑法で禁じられたギャンブルを主催するための『免罪符』ともいえる」と説明する。
しかし、各全国団体は官僚の天下り先という性格も濃厚だ。地方競馬全国協会(農水省所管)、日本自転車振興会、日本小型自動車振興会(ともに通産省所管)の三団体合計で役員二十三人のうち十一人が所管省からの天下り。競艇の日本財団も十七人中二人が運輸省OBだ。こうした実態が、自治体側の不満を呼んでいる。
岸和田市の担当者は憤る。「駅前に自転車があふれる時代に自転車産業振興はナンセンス。福祉の増進は自治体に任せてほしい」
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