|
1999/05/13 朝日新聞朝刊
県営競馬、赤字4億円 98年度、一般会計へ繰出金ゼロ/栃木
県営競馬の一九九八年度収支が約四億円の赤字となったことを県が十二日、明らかにした。九七年度も単年度事業でみると赤字だったが、前年度からの繰越金で埋めていた。九八年度はついに繰越金を含めても赤字となった。このため、県の一般会計への繰出金も県営競馬が始まった一九五二年度以来、初めてゼロとなった。県は売り上げ増に向けて馬番馬券導入などの手を打っているが効果は上がっておらず、手詰まりに近い状態。今年度も黒字への転換は難しい状況だ。
県総務部によると、九八年度の県営競馬事業の収支は、宇都宮市、足利市主催分を含めて馬券発売などの収入が約二百八億二千万円、払い戻しや人件費などの支出は二百十二億三千万円で、約四億一千万円の赤字だった。赤字分は、新競馬場整備などのために約百十五億円積み立てている「県営競技事業整備基金」でカバーするという。
繰越金分をのぞけば、実質的な赤字はさらに四千万円増える計算だ。九七年度は前年度からの繰り越しが五億円近くあり、赤字を埋めた上に約四千万円を九八年度に繰り越していた。
一般会計への繰り出しは最も多かった七五年度ごろには四十億円以上あった。累計で三百九十億円にのぼり、「学校も橋もこれで造られた」(県公営競技課)という。しかし、九七年度は実質赤字だったため形だけの百万円にとどまり、九八年度はとうとうゼロになった。
赤字転落の主因に県は景気低迷などから来る入場者減を挙げる。県主催分に限ると、入場者は最盛期には年間六十万人近かったが、九八年度は三十万人を割った。馬券発売額も落ち込みがひどく、九八年度は前年度比で二割も少なくなった。
県は従業員削減などで経費を抑える一方、昨年度には高配当となりやすいといわれる馬番の馬券を導入したり、群馬県の高崎競馬場と連携し、一部のレースの馬券を双方の競馬場で買えるようにしたりして、立て直しを図った。しかし、「いろいろ努力してきたが効果が出ているとはいえない」(県公営競技課)という状況にある。今年度もこれまでの開催では入場者が前年度比で五%前後減っているとみられ、ファン離れに歯止めがかからない状況だ。
県への委託で年二回の市営競馬を催している宇都宮市は、やはり赤字から撤退を打ち出している。苦しい状況が続く中、県公営競技課の佐藤正洋課長は「経営改善は必要だが、それによって生活している人もおり、地域経済効果も大きい。県内では、ある意味で大企業だ。赤字にならないように最前を尽くすしかない」。
関係者は「とちぎテレビ」での競馬中継によるファン拡大に期待を寄せる。将来は電話投票導入の思惑もある。佐藤課長は「県営競馬が残っていくには個性化が必要。全部の競馬場が金太郎飴(あめ)のようなら、ファンは中央競馬に行くに決まっている。ファン層も変わり、今は競馬は健全なレジャー。世の中の変化に乗った運営に改革しないと置いていかれる」という。
県は近く中央競馬会の関係者も含めて県営競馬の振興策を探る検討会を設けることにしているが、赤字が続けば基金の目減りは避けられず、競馬場移転計画にも影響しそうだ。
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。
|