元SMAPの森且行(かつゆき)選手が出場した十一日、福岡県飯塚市のオートレース場は朝から異様な雰囲気に包まれた。バイクが爆音をたて、最高時速約一六〇キロで走り抜ける走路(五百メートル)は普段通りだったが、フェンス越しには若い女性が十重二十重。時折、悲鳴がとび、売上額は通常比一・五倍、入場者数は同三倍に達する盛況となった。
その日、地味ながらもう一つの変革があった。競馬の馬番、競輪の車番にあたる八車八枠制の導入だ。八台を六枠に分ける従来の八車六枠制の場合、連勝単式の的中率は三十二分の一だが、一台一枠の「八枠制」では五十六分の一に。難しいが、配当は高くなる。ギャンブル性を強く出し、売上増につなげる狙いだ。日本小型自動車振興会(東京)も「これからは『八枠制』が主流になる」と期待をかける。
新年度を「森」と「八枠制」で、好発進した飯塚オートだが、浮かれた様子はない。一九八〇年度に約三十一億円あった市財政への繰出金は九七年度五億円(見込み)に激減。レース開催で、特別交付税が約十億円減らされているとの試算もあり、公営競技としての存在意義も問われかねない。
こうした声をけん制するように、市の諮問機関が昨年、夜間レース、場外開設とともに合理化を答申した。細川年通・市公営競技事業部長は「八枠制」「森」効果に期待しつつも、「売り上げ減に見合った合理的な経営も考えねば」と経営見直しを訴える。
労使は、二〇〇一年度までに投票窓口の女性職員らを補充せず、定員を七百二十人から約五百五十人に減らすことを合意している。経費削減、合理化・・・。売り上げ増だけでは解決しない構造的な難題に公営競技が直面している。
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