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1989/11/27 朝日新聞朝刊
競馬・競輪場で働く主婦ら、勤め続けても失業手当 会計検査院が指摘
競輪、競馬、オートレースなどの公営競技場に10年、20年と勤め、定期昇給や退職金もある主婦らに対し労働省が、日雇い雇用保険を適用し、非開催日に失業手当として63年度だけで約94億円支給していたことが、会計検査院の調べで分かった。実質的な継続雇用であり、日雇い失業給付は不適切としている。労働省は50年代に入り、その前から給付している都府県については“受給者の既得権”として目をつぶる一方、新たな給付申請を認めず、労働者間の不公平を十数年間、放置していたことも明らかになり、検査院は近く、同省に改善を促す。
公営競技場は全国で競馬29カ所、競輪50カ所、オートレース6カ所、競艇24カ所ある。各競技場には、窓口での発券や払い戻し業務、警備などに従事する人が1競技場約500人から1500人、全体で約11万人いる。各主催者の全国協議会によると従事員の約9割が女性で、そのほとんどが主婦。
検査院が雇用保険の中で、「日雇労働求職者給付金」と呼ばれる日雇い労働者が対象の失業給付金の支給状況を調べたところ、63年度、競技場従事員1万6800人に約94億円が支払われていた。
雇用保険法は、失業手当をもらえる日雇い労働者を(1)日々雇用される者(2)30日以内の期間を定めて雇用される者、と規定。失業前の2カ月の間に通算28日以上、つまり1カ月平均14日以上働けば、月最低13日間(最高17日間)分の失業手当をもらえる。給付金の日額は最高6200円。
ところが、検査院で失業手当をもらっている競技場従事員の就労実態を調べたところ、ほとんどが定期昇給、夏冬のボーナスがあり、65歳程度の定年制を設け、退職金も支給。また、平均経験(勤続)年数が23年という競技場もあるなど実質的に継続雇用となっていた。
所得も昨年、65歳で辞めた主婦の場合、退職金は約1000万円。日当1万2000円、ボーナスが年間100万円で失業給付金を入れると年間所得は約350万円と一般のサラリーマンに近い収入を得ていた。競技開催日数が、失業手当のもらえる月14日の労働日数に満たない場合、他の日雇いで数日働き14日間確保、残りの日は失業手当をもらう人が受給者の約半数いた。
一方、労働省は50年代に入り、公営競技場の従事員に対し、日雇い失業給付を認めない方針に転換。千葉や愛知などの従事員の給付要求を認めなかった。ただ、東京、埼玉、神奈川、大阪などそれ以前から適用していた10都府県は見直しを行わず、不公平を放置した格好だ。
検査院では、公営競技場従事員の日雇い雇用保険の赤字が毎年80億円を超え、その分国庫と一般被保険者が負担している状況も考慮、適切に支給するよう同省に改善を促す方針。
●保険の扱い難しい
中井敏夫・労働省雇用保険課長の話 従事員の身分は、自治省見解や法律上は日雇いであり、雇用保険上の扱いが難しい。ただ、就労は検査院が指摘するような実態なので、労働者、施行主らに納得してもらえるような解決策を見いだしたい。
●長年かけ勝ち取る
全国競走労働組合・中村邦興中央執行委員の話 公金を扱う上、締め切り間際に殺到する客をさばくには、経験豊富な労働者が必要で、我々はそれに見合う制度を長年かけて勝ち取って来た。雇用保険の日雇い失業給付を認めないのであれば、身分上も継続雇用と認知して一般の雇用保険に切り替えてほしい。
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