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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/10/25 朝日新聞朝刊
多額の国連滞納金を抱える米(NEWS フォロー・スルー)
 
 「米国は国連に滞納金を払え」
 ニューヨークの国連本部の向かい側にある小さな広場で二十三日夜、米国市民団体がろうそくを手に、こう訴える集会を開いた。五十三年前の国連発足を記念する「国連デー」の前夜祭行事として、集会は今年で三回目になる。
 国連の事務局や平和維持活動(PKO)などの経費は、加盟国の経済規模に応じて割り当てられた分担金でまかなわれる。米国の現在の滞納金は、事務局の年間予算を上回る約十五億ドル。過去二年間分の合計約十三億ドルを超えたため、国連憲章の規定で来年から総会での投票権を失う恐れが出ていた。
 投票権を失った国は第三世界に集中している。唯一の超大国が加われば前代未聞の出来事だ。米国は先の新年度予算成立で、今年の分担金の一部が年末までに支出できるようになり、投票権はぎりぎり維持された。それでも多額の滞納金が残っており、投票権喪失の恐れはつきまとう。
 滞納の影響はじわじわと出始めている。国連の行財政改革を監視する総会の行財政諮問委員会(十六カ国)で、米国は二年前の委員選挙で落選した。今年も当選の見通しは明るくない。行財政改革は米国がこれまで分担金を支払わない主な理由の一つにしてきたが、「滞納している米に言う資格はない」と、しっぺ返しを食らった形だ。
 米国の滞納は、保守派のレーガン政権時代の一九八六年から目立ち始めた。冷戦期で米国の思い通りにならない国連への反発が背景にあったといわれる。ブッシュ政権になると、湾岸戦争で多国籍軍を組織した経験から国連の新たな利用価値を認め、滞納金の処理を前向きに検討し始めた。
 ところが、ブッシュ政権からクリントン政権にかけて、米議会が国連改革の条件をつけ、国連総会で決められたPKOの分担率より低い分担金しか出さなくなり、滞納が増えた。
 昨年は下院で滞納金の支払いに十億ドルを充てる法案に対し、共和党保守派が「外国で人工妊娠中絶を奨励する家族計画の運動団体への援助を禁止する」という条件をつけ、クリントン大統領が拒否権を発動する方針を表明したため、法案が宙に浮いてしまった。
 今年もこの条件が支障となって十億ドルを超す滞納金が来年に持ち越された。
 アナン国連事務総長は「国連と米はお互いを必要としている」と強調する。裏には、レーガン政権時代のような米国の「国連離れ」がもはやあり得なくなったとの自信がある。
 一方、国連は米国の指導力を求めている。九月の国連総会演説でクリントン大統領に会場が総立ちの拍手を送ったのは、「経済危機など不安定要因が世界的に広がる時代に、頼れるのは米国だけという思い」(西側外交筋)からだ。
 その指導力が、滞納金という爆弾を抱えて揺らいでいる。
(ニューヨーク=村上伸一)
 
 
 
 
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