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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/12/18 朝日新聞朝刊
「金だけ期待」いら立つ(日本と国連 加盟四十年のいま:中)
 
 ガリ国連事務総長「国連予算で米国の未払い金が問題になっている。米国に支払うよう促してほしい」
 池田行彦外相「そういう話は首相に言ってほしい」
 四月に来日したガリ氏は「カネの話はしないように」との日本外務省の事前の忠告を意識してか、国連の財政についてそれ以上言及しなかった。それでも外務省は「あれほどクギを刺したのに」と嘆いた。橋本龍太郎首相との公式会談はなく、首相が設けた夕食会の席では、ガリ氏は結局切り出せなかった。
 この話には伏線がある。ガリ氏の来日直前に日本を訪れた明石康国連事務総長特別顧問=当時=が橋本首相らに、国連の窮乏ぶりを訴え、来年度分の資金の「前借り」まで打診した。背後にガリ氏の意向を感じた外務省は、来日時に国連財政の話を持ち出すと、日本の対国連感情のうえから逆効果になる、と強く働きかけていたのだ。
 
 国連財政は、一九九五年末現在で、通常年間予算の約二年分にあたる約二十三億ドルの未払い金を抱えている。事務総長就任以来、ガリ氏は分担金支払いの念押しの意味もあって、国連通常予算の一五%以上を分担し、米国に次いで第二位の拠出国である日本を毎年のように訪れていた。
 九四年に設けられた国連の財政状況に関する作業部会で、声高に財政危機を叫ぶ欧州連合(EU)の主張も、日本のいら立ちをかき立てている。
 今年一月、EUが発表した分担率の見直し案は、支払い能力重視の内容だった。EU案でいくと、主な国の多くの分担率はわずかな増減があるだけだが、日本は一八%近くにまで突出して上昇する計算になる。
 危機感を強めた日本政府は三月、「相打ちでEU案をつぶす」(外務省幹部)目的で、常任理事国とそれ以外の国々で分担率の上限を区別する案を提出した。
 虚々実々の駆け引きは現在も続いている。日本が最も警戒するのは、米国とEUが手を組み、そのしわ寄せが日本にくることだ。世界を見渡しても、負担増に耐えられそうなのは、日本とドイツぐらいというのが、国連加盟国の「常識」のように受け取られている。EUの動きのほか、国連批判を強める議会を意識する米政権は、二五%の分担率を二〇%程度まで引き下げることに腐心している。
 日本のいら立ちの裏には「金ばかり出して国連の政策決定に参加できない」との思いがある。
 最近欧州で開かれた政府間協議でのこと。来年六月に米国・デンバーで開かれる主要国首脳会議(サミット)での議題をめぐり、英国が「国連改革の問題では財政改革にしぼって議論すべきだ」と主張した。日本は「国連全体の改革にすべきだ」と反論。安全保障理事会の常任理事国入りを念頭に、財政改革だけでなく安保理改革もセットに議論すべきだとの立場を強調した。しかし、ドイツの常任理事国入りを警戒するイタリアがすかさず、「安保理改革は切り離すべきだ」と注文をつけ、議論はまとまらなかった。
 四十年前の加盟当時と比べ、日本の国連通常予算に対する分担率は八倍近くに増えた。米国以外の安保理常任理事国と比べると、英国とフランス、中国の合計を上回る。
 
 今年九月の国連総会で、橋本首相は「全体として均衡のとれた形で、国連改革が進められることが重要」と強調した。「負担だけ押し付けられてはたまらない」(外務省幹部)という政府の思惑を込めたものだった。外務省の中には「日本の負担だけが増える財政改革案が通るようなら、支払い拒否も辞さない」という強硬意見さえ出てきた。
 「カネ」と「地位」を結びつける現在の日本の戦略は通用するのか。猪口孝国連大学上級副学長は「財政改革も安保理改革も行き詰まっている。国連の枠組みを変えてしまうぐらいの実質的な改革案を出さなければ、展望は開けない」と、厳しい見方をする。
 
 
 
 
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