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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/12/17 朝日新聞朝刊
「地位追求」脱却が課題(日本と国連 加盟四十年のいま:上)
 
 国連の政策をめぐり、日本、米国、ドイツ三カ国政府による「存在していないことになっている」(政府関係者)会合がある。
 今年一月、静岡県伊東市川奈に、日独外務省と米国務省の高官たちが、ひそかに集まった。国連本部でまもなく再開される安保理改革の作業部会にどう臨むか、国連財政をどう立て直すかなどが、二日間にわたり話し合われた。
 「三カ国会合」は昨年秋、ニューヨークでも行われている。議論の内容はもちろんのこと、いつ、どこで開かれるかも、いっさいおおやけにされていない。会合の目的が、日独の常任理事国入り実現のための政策調整にあるからだ。「明るみに出れば、日独だけの常任理事国入りに反対している途上国側の反発を生む」(同)との警戒がある。
 しかし、こうした日米独による水面下での政策調整にもかかわらず、日独の常任理事国入りは、実現の兆しをみせていない。三年目に入った安保理改革作業部会が九月に総会に提出した報告書では、日独だけの常任理事国入りは事実上、否定された。安保理改革は、途上国側からどのように常任理事国を選ぶかという、隘路(あいろ)に入っている。
 常任理事国入りが難しければ、とりあえずは非常任理事国に――。日本が今年の非常任理事国選挙で、インドとの対決を辞さず、これまでにないほどの激しい運動を繰り広げたのには、そうした判断がある。
 
 日本の安保理入りは過去七回。四十年のうち三分の一以上の期間を、日本は安保理メンバーとして過ごしてきた。ドイツは西独時代を含めて三回。国連を重視し、日本と同様に来年から安保理に入るスウェーデンは、二回。日本の突出ぶりが目立つ。
 日本の国連加盟は、国際社会への完全な復帰を果たし、国際的地位を向上させる意味合いを持っていた。安保理入りのほか、国連憲章にある旧敵国条項の削除問題など、日本が積極的に取り組む活動には「地位」が絡むことが多い。朝鮮半島での問題を除けば、日本の利害に直接絡む実質的案件が少ないという事情もある。
 常任理入りに賛同する明石康国連事務次長は「ともすれば地位だけを求めがちな日本の伝統的な姿勢は大いに反省すべきだ。具体的政策で何をすべきかが問われている」と指摘する。
 
 そうした声は今、日本への期待という形でも表れている。アフリカのあるベテラン国連大使は、日本に一票を入れた理由についてこう説明する。「安保理改革は、日独だけの常任理事国入りではだめだ。しかし、現実的に考えれば、日本とドイツが安全保障問題に参加しないというのは、大きな損失だ。『準常任理事国』のような意味合いで、交互に入れるべきではないか」。今年末でドイツが安保理から退場することが、来年からの日本の安保理入りを促したとも言える。
 財政的裏付けがなければ、平和維持活動(PKO)の派遣決定ができない。当事者の和平機運を高めるためには、紛争後復興の青写真が大きな役割を果たす。日独の安保理入りをどのような形ででも求めようとする動きの裏には、今の安保理が直面する問題が投影されている。
 アフガニスタン紛争の解決に向け、非メンバー国も交えた十月の安保理での協議で、日本が復興問題を視野に入れた東京会議の開催を提案した後、小和田恒国連大使は多くの大使から握手を求められた。開発問題でも、今秋の「国連アフリカ開発見直し会議」の議長に、アフリカ側の懇請で小和田氏が就任している。
 国連加盟時に比べると、はるかに大きな期待が日本に集まっている。それにこたえられる政策とリーダーシップを打ち出せるかどうか。そこが、いま問われている。
 
 一九五六年の十二月十八日、日本は敗戦後の念願であった国連加盟を果たした。それから四十年。転機に入りつつある日本の国連外交のありようを報告する。
 
 
 
 
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