日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/10/08 朝日新聞朝刊
安保理改革じわり前進 日独常任理入り「前向き」大勢に(時時刻刻)
 
 国連総会での加盟国首脳による一般演説が進み、焦点の「安保理をどう変えるべきか」をめぐる各国の姿勢が次第にはっきりしてきた。一番大きな変化は、圧倒的に多い途上国などの「安保理改組」を求める声を意識してか、既得権を守りたい常任理事国がこれまでの消極姿勢を変え始めたことだ。具体的にどの国を、どういう資格で加えるかなどの各論はこれからだが、論議はひとつの段階を越えた。
(ニューヨーク=小田隆裕、佐藤吉雄)
○日独の姿勢交代
 「自然体です。推されれば受けて立ちますが、自らは求めません」と、細川護煕首相は九月二十七日、ニューヨークでの記者会見で言った。
 「ドイツはすべての国連の作戦に制約なく参加出来るように、憲法改正をめぐって熱心な議論をしている。常任理事国として責任を果たす用意がある」と、キンケル独外相は同二十九日の国連演説で言った。
 昨年、渡辺美智雄外相(当時)は「安保理の機能・構成を含む国連組織のあり方につき、真剣に検討すべきだ」と言い、キンケル外相は「もし、安保理の機構改革が具体的になれば、我々も常任理事国入りを求める」と述べた。どちらも間接的な表現で常任理事国入りを希望したものだが、ドイツの方が腰を引いていた。これは、ドイツが日本を露払いにして国際世論を見てみようという姿勢を取っていたからと思われる。ことしは、ドイツが一歩、前に出た形だ。
 日独両国ともこの問題が国民の間で大きな論議になっているわけではない。日本では新政権が「国民の合意がない」と慎重に構えているのに対し、キンケル外相が消極論を押し切ったらしい。
○各国の利害反映
 日独を常任理事国にすべきだ、とはっきりと主張した主な国はハンガリーぐらいだ。しかし、さまざまな表現で、各国が「安保理改革」を求めた。「我々は(理事国を)適度に増やすこと、安保理全体を新たに見直すことを支持する」(ニュージーランド)。
 演説には当然、先進国と途上国、そして、地域の利害が反映する。「構成は、先進国と途上国が国連の意思決定をする上で、現在の不均衡をさらに悪化させることがないようにすべきだ」(ブラジル)などの意見は「南」の立場を代弁している。「準理事国という分野を設けるべきだ。トルコはこの分野での候補国である」(トルコ)「もし、国際世論が安保理の構成を変えるなら、国際社会で効果的な役割を果たしているエジプトは、その権利と力量とを備えている」(エジプト)などは、「われわれも有資格者」という宣言だ。ただ、いずれも日独が加わることを前提にした議論であることに変わりはない。
 韓国は「拒否権なしの長期メンバーと非常任理事国の拡大を合わせて考えたらいい」と述べた。日本を名指しはしていないが、日本が拒否権を持つ常任理事国になることには警戒感を示したものと聞こえた。また、ニュージーランドも「拒否権をこれ以上増やすことには反対」と付け加えた。いわば「選挙区」であるアジア・太平洋のこうした声を日本はどう聞いたか。
○カギ握る五ヵ国
 日本などが常任理事国になる場合、最後のカギを握るのは、五つの現常任理事国だ。
 安保理を改組するには国連憲章の改正が必要だ。審議が進めば、総会決議、憲章改正案の提案という手順を踏むが、最終的には、五常任理事国すべてを含む加盟国の三分の二の国内での批准がいる。
 「日独の常任理事国入り」の旗振り役を務めている米国は、総会では、一言も触れなかった。その真意は、自国の国連分担金の削減を強調したため、「その文脈で日独支持を持ち出せば、財政的負担を両国に肩代わりさせる狙いとみられてしまう」(国連外交筋)ためと観測されている。
 事前には、英国、フランス、中国、ロシアのうち仏を除く三国が、安保理の拡大そのものに消極的だった。が、演説ではいずれも前向きな姿勢に変わった。
 英国は「安保理拡大が合意されるなら、常任理事国の責任を全面的に果たし得る国々が存在する」と日独を意識した肯定論に変わった。改組時期尚早を唱えていた中国も「世界の変化に対応するため、安保理は適正に拡大しうる」と認めた。
 フランスとロシアは、平和維持活動(PKO)積極参加の「条件」をつけた。「PKOの現場に積極的に取り組むなら、国際的な責任を果たそうとの熱望を理解し、支持する」(フランス)。「平和創造への進んだ対応を考慮に入れるのなら、安保理を含めた国連改革は意味を持つ」(ロシア)
 米国の有形無形の「説得」が効いた形だが、四カ国にとって経済大国の台頭は、国際社会での影響力低下につながりかねない。演説には、PKO問題に加え、「開発途上国の利益、地理的な配分」(中国)、「途上国の発言権の確保」(フランス)など、ささやかな「毒」もちりばめてある。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
86位
(29,137成果物中)

成果物アクセス数
134,509

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年9月23日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から