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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/05/15 朝日新聞朝刊
旧敵国条項 国連憲章の中に規定(みんなのQ&A)
 
Q 国連憲章に「旧敵国条項」というものがあると聞きました。どんな条項ですか。
A 第五三条(強制行動についての地域的取り決め)と、第一〇七条(安全保障の過渡的規定)にそれぞれ「敵国」「第二次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であった国」という表現があり、これらが旧敵国を規定している条項として「旧敵国条項」と呼ばれています。国連憲章は中国、旧ソ連、英国、米国の代表が草案を起草し、一九四五年六月に五十カ国が調印しました。この時点では第二次大戦はまだ終わっていませんから、「敵国」の侵略行為などに対して強制行動をとれる道を残しておく条項が作られたのです。
 
Q 当時の連合国の「敵国」といえば――。
A 日本、ドイツ、イタリア、それにブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドを指していると考えられています。
 
Q 日本がまだ「敵国」だなんておかしな話ですね。
A 日本はかねてから「時代に合わない条項」だとして、機会あるごとに削除を求めてきました。去年九月の国連総会で演説した渡辺外相も「国連は時代の変化に十分対応していない」と指摘し、国連憲章にも旧敵国条項など「歴史的遺物」が存在している、と述べています。
 
Q なぜ削除できないのですか。
A 憲章の改正ということになりますが、そのためには、(1)総会構成国の三分の二の多数による採択(2)五常任理事国を含む加盟国の三分の二による批准――の二つの手続きが必要で、常任理事国の一国でも反対すれば不可能なのです。また、憲章には「ソ連」という国名がまだ残っているなど、時代に合わない個所はほかにもいろいろ出てきます。
 
Q 常任理事国をいまの五カ国に限定するのがよいか、という議論もあるようですね。
A その他、第三世界などからも様々な修正要求が出てくる可能性があります。憲章改正に着手することは「パンドラの箱」を開けることだ、と言われるゆえんです。
 
Q 各国の思惑がいろいろとからんできそうですね。
A 最近では、ロシアが安保理外相級会合で旧敵国条項の無効化を呼びかけるらしい、というニュースがありました。どうやら日本に対するリップサービスのようで、このように外交上の駆け引きに使われることがあります。日本には「常任理事国入り」という大きな目標がありますから、各国の理解や合意を取り付けることが何よりも大事です。
 
Q ほかの旧「敵国」は条項削除を求めていないのですか。
A ドイツなどは、この条項は「既に死文化している」と、あまり問題にしていないようです。国連に加盟した時点で事実上無効になっている、という解釈もあります。いずれにしても、九五年は国連創設五十周年。半世紀もたって、国際情勢や国連の役割は大きく変わっています。旧敵国条項だけでなく、冷戦後の国連のあり方そのものや、日本の役割などが再検討されなくてはならない時期にきていることは確かです。
(大原悦子=外報部)
 
 
 
 
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