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1992/10/31 朝日新聞朝刊
常任理事国入りの悲願達成にはP5のカベ(国連物語:27)
10月初め、静岡県函南町で開かれた自民党全国研修会の2日目。講師として演壇に立った渡辺美智雄副総理・外相はこう語った。
「国連憲章の敵国条項なんてのは時代遅れ。日本は国連資金の12.45%を負担してる。英仏中3カ国合わせたより多い。米国に次いで2位だ。常任理事国になる資格は十分ある」。拠出額に見合う発言権を日本に、ということだ。
渡辺外相は9月下旬の国連総会で「国連安保理はその信頼性と実効性を高めるとの観点から、機能・構成を含む組織の在り方につき真剣に検討すべきだ」と演説した。えん曲な言い回しにとどめたのは、現在の常任理事国5カ国(P5)にはP5体制を崩す気がほとんどなく、強く言えば強い反発が返ってくるだけと考えてのことだった。
米国は1972年秋にニクソン政権のロジャーズ国務長官が国連総会で微妙な言い回しで言及して以来、日本の常任理事国入り支持の立場ということになっている。が、昨年10月、パール大統領特別補佐官(アジア太平洋担当)らホワイトハウスのスタッフと、在米日本大使館の参事官らの間でこんなやりとりがあった。翌月下旬に計画されていたブッシュ大統領の訪日を前に、首脳会談のシナリオづくりをしていたときだ。
「米国が日本の立場を支持する項目として『北方領土』と『常任理事国』を入れていただきたい」
「『常任理事国』を入れるのはどうかな。ニクソン以来の立場があるのは事実だが、今回はちょっと」
日本側がどう口説いても受け入れない。安保理の構成見直しに消極的な米国の「本音が出た」と、参事官の1人は思っている。
日本側は今年1月にも苦い思いを味わった。メージャー英首相が突然提案して初の安保理15カ国首脳による会議が開かれた。
英国の提案を伝えた外務省幹部に、宮沢喜一首相は「一体、何のために集まるんでしょうねえ」と突き放したような言い方をした。この会議には日本も非常任理事国として参加したのだが、ロシアがソ連を継承してP5入りしたことについて各国に異論を挟ませないための、P5主導のセレモニーと日本側には映った。
渡辺外相の国連演説は、控えめにだが、日本が常任理事国入り実現に向け動き出したものと言える。しかし、安保理の構成変更はP5のうち1国でも反対だと実現しない。「悲願」達成の道は遠そうだ。
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