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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/10/25 朝日新聞朝刊
民族衝突の激流 保護軍へ不満と銃弾(国連物語:21)
 
 今年6月下旬、ベオグラード市の新市街にある国連保護軍(UNPROFOR)の本部が大勢のセルビア市民に取り囲まれた。
 「赤ちゃんを殺すな!」
 ボスニア・ヘルツェゴビナ北部の町バニャルカの病院で酸素吸入が必要な新生児12人が相次いで死亡した。1カ月前から国連の包括的制裁下にある新ユーゴスラビア(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)は、酸素や医薬品を積んだ飛行機を用意していたが、国連ユーゴ制裁委員会の飛行許可が出ない。セルビアばかりが国際非難を浴びている現状に、市民は不満を国連保護軍にぶつけた。
 クロアチアの首都ザグレブでは先月末から今月初めにかけ、国連保護軍のヘリコプターが相次いでクロアチア兵に銃撃された。
 9月8日、サラエボ空港近くで、国連保護軍のトラックがモスレム民兵の攻撃を受け、フランス兵2人が死亡した。ボスニア政府(モスレム)のガニッチ共和国幹部会副議長は「まことに残念だが、戦闘が行われている状況の中では何事にも注意深さが必要だ」と、国連側の無謀さを原因の1つと指摘した。
 無論、国連保護軍の存在が戦闘拡大抑止に役立っていることは疑いようもない。だが、各紛争当事者からの非難と攻撃はやまない。保護軍が、自分たちより相手側(敵)を保護している、と見えてしまう。
 ボスニアに展開する国連保護軍責任者フィリップ・モリヨン少将は「サラエボに食糧を運ぶのはいいが、女性や子どもに通行を阻止され『保護軍は、出て行け』とまで言われた」と語ったことがある。
 旧ユーゴへの国連の介入は、昨年11月、欧州共同体のクロアチア紛争調停の度重なる失敗を受けて始まった。
 「停戦合意が完全順守されていない現状で派遣は困難」(昨年12月12日、デクエヤル事務総長報告)という立場から欧州大陸初の国連平和維持軍(PKF)展開へ。クロアチアへの派遣のための本部所在地にすぎなかったボスニアは内戦の主舞台となり、7500人の国連保護軍が投入されるにいたった。
 この間、死亡した保護軍兵士はすでに18人。負傷者約300人。
 旧ユーゴは民族主義者の手と欧米の方針で解体された。「軍事的解決は絶対不可能」(モリヨン少将)な中、国連保護軍は、本来の平和維持とはまったくかけ離れた民族衝突の激流に放り込まれ、必死であらがっている虫のようだ。
 
 
 
 
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