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1992/10/05 朝日新聞朝刊
常任理事国入り望む日独、米にらみ駆け引き(国連物語:5)
2つの演説がある。9月下旬、国連総会で2日連続で行われ、注目を集めた。
22日、渡辺美智雄外相 安保理の機能・構成を含む国連組織のあり方につき、真剣に検討すべきだ。
23日、キンケル独外相 もし安保理の機構改革が具体的になれば、我々も常任理事国入りを求める。
間接的、直接的の違いはあれ、要するに両国とも安保理の常任理事国になりたい、と言ったのである。
両国がそう希望していることはどの国も知っている。が、どちらも、演説で「はっきり言うか、どうか」、内部で論議があった。日本の外務省では、結局、先のような表現に落ち着いた。「いま、明確に言うとパンドラの箱を開けかねない、という判断だった」。一方、ドイツでは、否定的な意見が強かったが外相が決断したという。ともにためらいをみせたのは、米国などが本音では賛成していないことを知っているからだ。
米国をにらんで、日独は互いに意識し合っている。ボンでは「日本が米国に理解を求める非公式文書を出し、ドイツが消極的だから日本をぜひと言った」との話がまことしやかに伝わった。日本でもキンケル演説後、外務省幹部は「ドイツははっきり言ったねえ。日本はああ言ったが、他人のふんどしで相撲を取った感じだ」ともらした。
「山の上に城を築きたいなら、山に登る道を示すべきだ。でないと、我々も応援出来ない」と、ピカリング前米国連大使(現インド大使)はかつて忠告した。
日独両国とも、表向き、選挙運動をしているようには見えない。が、渡辺外相が演説翌日、ニューヨーク市内で約40のアフリカ諸国外相を招き昼食会を開いたのも、一種の事前運動だ。一方、ファンデンブルック・オランダ外相が9月21日、ライデン大学での講演で「日独両国が常任理事国になってもおかしくない」と述べたのは、ドイツの根回しとの見方もある。
「安保理に入らないと情報がとれない。理事会室の外で廊下トンビをやるのは我慢出来ない」と外務省関係者は口をそろえる。「大国」のプライドが許さない、というのだ。「国連の財政難で、日本の理事国入りが現実的になるかもしれない」との声も。
4月1日、ニューヨークの外交政策協議会の講演で、クリントン民主党大統領候補はこう言った。「日独を常任理事国に入れるべきだ。そして例えば、日本にはカンボジアの費用をフルに3割払わせるべきだ」
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