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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/10/03 朝日新聞朝刊
黒幕アメリカ、地味に動いて思いのまま(国連物語:3)
 
 「これを印刷して議場で配ってくれ」。フロッピーディスクを差し出された国連政治局の職員は内心、驚いた。「ここまでやるのか」。中身は、米英仏3カ国がまとめた安保理決議案だった。
 以前は、事務局が過去の例を参照し、提案国に助言をして決議案を作成した。湾岸危機以降、安保理を牛耳る米英仏は単独で案文を作り、5大国の協議を経てそのまま事務局に手渡すことが多くなった。知らないうちに議場に決議案が配られ、報道で知った事務局があわてる場面すらある。
 だが、米国の支配は目立たない。実質的な話し合いを行う安保理非公式協議の場でも、米国の発言は控えめだ。主宰するのは、もっぱら、雄弁で知られる英国のハネー大使。協議後、廊下で待つ報道陣の前を、米国のパーキンズ大使が素通りする。協議の模様を説明するのもハネー大使だ。
 8月26日、米英仏はイラクに対し、南部に飛行禁止区域を設定することを通告した。ある理事国は、法解釈上の根拠があいまいなこの作戦を、事前に安保理で話し合うべきかどうか、探りを入れた。インドは「認めるわけではないが、異議は唱えない」。中国は「かんべんしてくれ。米英仏が勝手にやるんだから」。議論は避けたい、という空気だった。飛行禁止について、安保理では一度も話し合われることなく終わった。
 米国連大使だった当時から、ブッシュ大統領は電話好きだった。小国の大使に懸案を相談し、「そういえば、前に約束した昼食、近いうちにいかがですか」とつけ加える。大国と違って、投票に大きな裁量権を握る第三世界の大使は、その一言で米国になびいた。「大使が反対しても、本国に直接話をつければ、米国の方針を支持した」と、当時の米国連代表部担当者は語る。
 昨年末に国連総会は、「シオニズムは人種差別」と決めつけた75年の反イスラエル総会決議を、賛成111の多数で撤回した。各国の首脳に米国が直接働きかけ、根回しをした結果だった。ロシアの没落と中国の沈黙で多数派形成は容易になり、米国はもう派手な工作を必要としていない。
 「国連時間」という言葉がある。定刻から30分遅れで会議が始まるのが通例で、だれもがその遅れを前提に予定を組む。ブッシュ大統領が演説した先月21日、総会は定刻間もなく始まった。各国代表が、大統領の移動日程に合わせた結果だった。
 
 
 
 
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