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1992/10/02 朝日新聞朝刊
没落するロシア、まるで「米国の太刀持ち」(国連物語:2)
「ブルーヘルメット(国連平和維持部隊)は攻撃されたらやり返すべきだ」
9月22日、国連総会でロシアのコーズィレフ外相の演説が各国外交官や国連職員の間で、ちょっとした話題になった。国連での最近のロシアの姿を象徴しているというのである。強硬な姿勢で存在感を示そうという「パフォーマンス」だけではない。英語で「リターン ファイアー」(やり返せ)と訳された、国連演説としては珍しいむきだしの表現に、「ロシアにプロの外交官が少なくなっているのを感じた」(国連筋)のである。
その数日前には、ロシアが久しぶりに拒否権をちらつかせる「事件」もあった。米、英が中心となって進めた新ユーゴスラビアの国連からの追放決議をめぐる国連安保理の折衝の裏側で、「新ユーゴを交渉の場に残すべきだ」と主張してのことだ。拒否権はかつてのソ連のお家芸だが、下手に使うと孤立しかねない。各国ともタカをくくっていた。
結局、ロシアは最終決議案に主張の一部が採り入れられたとして、新ユーゴ追放賛成に回った。
米、英、仏3カ国がイラクのアルアンバリ国連大使を国連フランス代表部に呼び、「飛行禁止区域設定」を通告した席にウォロンツォフ・ロシア国連大使が求められてもいないのに同席し、結局4カ国の通告となったことも。
「ロシアは最後は米国についてくる」――これがいま、国連での「常識」である。
かつての「ニエット」(ノー)の国はなぜ、「ダー」(イエス)に変わったのか。
ロシアを代表する外交評論家コンドラショフ・イズベスチヤ紙評論員は「政策の変化はゴルバチョフの時から始まった。ロシアは自国を西側の一員と見なしたがっているのだ」という。国連内部では「ロシアは、国内の民族紛争解決をやがては国際的な平和維持部隊に頼ろうと思っているからだ」という見方が多い。
ロシアはこれからも「米国の太刀持ち」であり続けるのか、どうか。
コロソフ・ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学教授が「いまの国連での立場は確立したものではない。外交政策自体が完全に定まっていないのだ。ロシアは米国と同じ役割は果たせない」というように、一時的な姿だという見方も強い。
過渡期の国連。そのなかで、ロシアの影は小さく、淡い。
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