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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/10/01 朝日新聞朝刊
国連に活気 湾岸危機めぐり結束 平和維持機能に期待
 
 【ニューヨーク30日=川上特派員】国連がいつになく華やいでいる。イラク危機で結束を見せ、本来の平和維持機能の回復に期待が高まる中で、総会が進行している。国連本部の場外では無数の首脳個別会談が続いている。
 世界中の子どもたちの幸福を願って国連児童基金(ユニセフ)の提案で開いた「世界子供サミット」には空前の数の首脳が世界から一堂に会した。総会出席のためニューヨーク入りした欧州の外相たちは、新しい欧州の安全保障体制づくりを目指す全欧安保会議(CSCE)を併せて開く。
 上げ潮ムードに乗って、特に、一連の対イラク制裁決議で主導権を発揮した米国は、満足の度合いが高い。「45年の国連の歴史の中で画期的なことだ」という自賛の発言が、トマス・ピカリング米国連首席代表をはじめとする責任者の口から繰り返し出ている。
 25日の総会一般演説に登場したソ連のシェワルナゼ外相の発言を、米国は「クレムリンの意義深い政策変更」と歓迎し、驚きを隠さなかった。わずか2週間前の米ソ首脳会談ではイラクに対する武力行使に断固反対したソ連が一転、「イラクがクウェートから撤収しないなら、国連決議による武力行使支持にもやぶさかでない」との態度を表明したからだ。
 米国は、自国の武力行使の用意を国連というフィルターにかけて、世界に認知させた形をとるのに成功したが、ソ連と中国は拒否権は使わないまでも、それに消極的だった。そのソ連が一段と米国寄りに歩調を合わせた。
 だが、大国の共同歩調で、国連が一枚岩になったわけではない。安全保障理事会の非常任理事国キューバは、対イラク非難には賛同しながらも一連の決議では棄権と反対を繰り返して、終始米国を激しく批判した。
 「米国その他の欧米諸国は、だれが就かせたわけでもない軍事的任務を果たそうとしている。米国が自称警察官としてペルシャ湾危機を利用している事実は無視できない」――27日の総会一般演説でキューバのマルミエルカ外相は断じた。
 デケサダ同国連首席代表は「米国は一方的に唯一の超大国のように行動しているだけでなく、国連安保理をそのために利用している。これは全世界にとってきわめて危険な事態だ」と指摘、東西対立のバランスが崩れた冷戦後の時代の始まりの一面を鋭くえぐった。
 国連加盟国の大半を占める非同盟(この表現そのものが意味を失いつつある)、あるいは第3世界の諸国の不満が、米国の満足と比例して高まろうとしているのは無視できない。
 数億ドルの援助要請を聞き入れてもらえない貧しい国々は、米国をはじめとする先進国がペルシャ湾危機には軍事、経済あわせて数百億ドルを投入するのを割り切れない思いで見ている。そうでなくとも、対立解消で援助が東欧にばかり流れるのではないかとの心配に加えて、また新しい情勢が生まれた。
 東西両勢力の綱引きの時代には、両陣営が1票を獲得しようとして第3世界の国の声に耳を傾けたため、票争いのはざまで第3世界の国々が存在を認めさせるすき間があった。逆に、国連やその機関が第3世界の主張を反映し過ぎる、援助要請だけの場になっているというのが80年代を通じて米国が強く抱き続けた不満であった。
 幕は変わった。大国の共同歩調の陰で、貧しい国々の間に芽生え始めている不満と期待を受け止めることが国連の重要な課題となろうとしている。
 
 
 
 
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