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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/09/16 朝日新聞朝刊
国連を立て直すための総会(社説)
 
 「国連は今年、その歴史上もっとも重大な財政的危機に直面している」。デクエヤル国連事務総長は、今年の年次報告序文の中で、こう断言している。16日から始まる国連通常総会の重要な課題は、財政危機の打開と、そのための行財政改革だ。
 倉成外相も一般演説で国連の機構改革を訴え、日本がその推進役になるとの決意を示す。昨年の国連総会で安倍外相は国連の行財政改革を一般演説の重点に置き、「国連効率化のための賢人会議」をつくれ、と提唱した。提唱者の立場からしても、日本の国連政策の継続性の見地からしても、今総会で改革推進を強調することは当然だろう。
 機構を立て直すことは、加盟国の国連への信頼をとり戻すことにつながり、ひいては国連の機能強化をもたらす、というのが日本の主張である。
 18人の各国政府専門家で構成される「賢人会議」はこの8月、71カ条の具体的勧告を含む報告書を事務総長に提出した。今総会がこの報告書の勧告を骨抜きにせず承認することが、国連改革の第一歩である。国内の行政改革と同様、改革案は機構の縮小、人員削減など痛みを伴うものだから、実現までには当然、抵抗が予想される。
 たとえば、賢人会議は今後3年以内に1万2000人の職員を15%、60の高級職員ポストを25%削減するよう提案している。年間400万ドルにも及ぶコンサルタントの費用を3割、職員旅費を2割減らすなど、大幅な節約策である。航空機のファーストクラス利用は事務総長に限るなど、細かくもある。こうして年間約8億ドルの事務経費のうち、約1億ドルを節約しようというのだ。
 増設されるばかりの部局、人事の停滞、多すぎる会議、重複の目立つ文書・・・国際機構の性格上、やむをえない面があるとはいえ、長年にわたる病弊をただすには、この時をおいてないだろう。
 財政危機はなぜ今年になって重大問題になったのか。事務総長年次報告が述べているように「主要分担金支払国が、通常予算への分担金支払いの相当部分を留保する態度をとっているため」である。米国のことだ。
 米国は国際機関の「偏向」と非能率にいらだち、まずユネスコから脱退した。さらに、国連の財政問題では大口拠出国の意見を重視する加重投票制を採用しない限り、分担金比率を現行の25%から20%に削減するとの国内法を根拠に、分担金の約3分の1に相当する7000万ドルの支払いを留保している。
 分担金支払いを一方的に拒否すれば明らかな憲章違反になる。米国連協会会長のエリオット・リチャードソン元司法長官は米紙への投稿で、条約を無視する米国の行為は国際法違反であり、同じ国際法違反を理由にカダフィ政権のリビアを攻撃するのは矛盾ではないかと指摘している。
 米国の支払い拒否は、単なるいやがらせや圧力と軽視はできない。事務総長年次報告もいうように、加盟国が憲章の規定に従うかどうかは、国連の死命を制する要素である。まして米国は0.01%の分担金に苦しむミニステートではなく、安保理事会の常任理事国なのである。
 米政府はリチャードソン氏の良識に耳を傾けてもらわねばならない。国連はこれを機会に、災いを福とするよう機構改革を進めるべきだ。米国をなだめるためではなく、自らの存立と発展のためになるからだ。
 この意味で、1年限りと期限つきの賢人会議には、期限を延長して改革案実施の監視をゆだねるのも一案だろう。
 
 
 
 
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