日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/05/10 朝日新聞朝刊
新たな努力を 内容充実こそ急務(国連・40年の光と影:20)
 
 国連ファミリーはこの40年間に51カ国から159カ国と、3倍強に膨張した。毎年2ないし3国が新規に仲間入りしてきた計算になる。
 だが、いま世界地図を眺めて感じるのは、独立すべき国はほとんど独立し、国連への未加盟国もごくわずかになったということだ。
 スイスは国連にまだ加盟申請を行っていないが、これは憲章が加盟国に侵略排除のために集団措置をとるよう求めていることなどを危惧(きぐ)してのことだ。
○輪郭すでに固まる
 しかし、スイスとともに永世中立を掲げるオーストリアは加盟を果たしており、集団措置としての国連軍の出動がソ連の反対で実質的に不可能になった現在、スイスが国連の一員に加わる可能性はある。議会では加盟を承認しており、国民投票の結果が待たれている。
 韓国、朝鮮民主主義人民共和国の加盟は、南北統一問題がからんでいて予断を許さないが、国際機構としての国連の輪郭はすでに固まったと見ていいだろう。
 組織が年々拡大して行く中で試行錯誤を繰り返していた国連は、背丈の伸びが止まったいま、中身の再検討を迫られることになった。
 国連は国際連盟を下敷きにしてはいるが、相違点の方が多い。第2次大戦のぼっ発を阻止できなかった国際連盟の欠点を目の当たりにした人たちは「一生のうちに2度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」(憲章前文)ことを願って、過去のどの国際機構にもなかった強い権限を与えた組織をつくり上げた。
○足並み乱れる大国
 ところが、第2次大戦で日独枢軸を相手にした米英ソ3国が、ヤルタでの合意を前提とした国連は、発足直後から挫折を繰り返した。米ソ両大国が対立を続け、拒否権の乱用によって安保理を無力化した。有力な事務総長の選出を妨げているのも米英ソ中仏5大国の拒否権である。
 予期したほどの成果を収められない原因が5大国の足並みの乱れにあったことは明らかで、この際憲章を改正して再出発すべし、との声が加盟国の一部から強まったことは言うまでもない。70年の25周年総会では、日本が「憲章再検討の動きは歴史的に自然な動き」(鶴岡大使)として各国の意見とりまとめを事務総長に要望したりもした。
 40年たった現在、国連内部には明らかな変化が出ている。
 「憲章問題をつき詰めて行くと、組織の空中分解を招きかねない。ソ連が絶対反対を唱えている以上、憲章をいじることは不可能といっていい。だから、これは一応タナ上げし、国連を現実的に見つめ直そう」(ガードナー・コロンビア大教授)との流れである。最近では、安保理拡大要求もあまり聞かれなくなった。
 ここで、大きな責任と期待をかけられているのが事務総長である。大国のエゴで機能をマヒさせたままの安保理と、非同盟や発展途上諸国の経済、社会開発を目指す77カ国グループ(G77)などの多数派グループが主導権を握る総会の間に立って、事務総長のもとにあらゆる難題が持ち込まれる。安保理も総会も手を出せないでいるイラン・イラク戦争の収拾に向けて、両当事国と懸命の折衝を続けるデクエヤル氏の姿が現在の国連を象徴的に表しているといえる。
 財政危機、事務局の能率とモラルの低下、組織の肥大化と重複、ナショナリズム――国連は満身傷だらけだ。これらの解決策が各国の利害対立によって見いだせないまま、事態処理は事務総長の双肩にかかっている。
 しかし、総長の事務能力にはむろん限界がある。デクエヤル氏を例にとれば、イラン・イラク、アフガニスタン、カンボジア、レバノンなどでの平和維持活動に振り回され、“内政”まで手が回りかねているというのが実情だろう。
○責任転嫁ですまぬ
 従って、日本を含めた国連の中心となる国々が総長の仕事をうまく側面援助できるかどうかで、国連の当面の評価は分かれて来るだろう。
 とはいえ、国連の責任を究極的に負うのは加盟国。「憲章が不備だ、1国1票主義が悪いなどと、責任をよそに転嫁する前に加盟国が自分たちの態度を反省すべきだ。40年間、人や金を出しながらも、ほとんどの国は国連に無関心すぎた」。エドワード・ラック米国連協会長の警句である。
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
86位
(29,236成果物中)

成果物アクセス数
134,737

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年11月18日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から