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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/05/04 朝日新聞朝刊
注文さらに 反核と軍縮を軸に(国連・40年の光と影:17)
○強すぎる自己規制
 「米国民の多数が国連に失望感を抱き、とくにレーガン政権が国連に非常に冷淡な態度をとっているいま、日本が国連に積極的にかかわり合う絶好の機会だと思う。そうすることに大きな意味がある時期だということです」
 コロンビア大学で客員教授として国際機構論などを講義していた横田洋三・国際基督教大教授は主張する。
 「わが国は国連に対してこれまで目立たない分野では大きな貢献をしてきていると思う。だが、とくに安保理事会のような政治的機関ではあまり際立った活動をすべきでないと、自己規制していたきらいがある。これは日本の国際協調主義あるいは等距離外交、いい方を換えれば敵をつくりたくないという政策に基づいているのではないか。戦前の軍国主義に対する反省もあったかもしれない。ところが、この慎重な態度が政治面のみならず、他の方面にも波及し、日本は国連をはじめさまざまな国際機構の重要な局面でリーダーシップやイニシアチブをほとんど取ってこなかった。いまは日本が指導力を発揮する絶好のチャンスだし、外から期待されてもいる」
 ――目立つ活躍とは何を。
 「軍縮と核兵器をなくす、この分野が第1だろう。世界唯一の被爆国として、日本国内には反核感情が根強いが、これを世界に反映させる必要もあろう。国連本部の見学ツアーでガイドがまず連れて行くのが広島、長崎の被爆地の写真展示場。国連各国にも、軍縮と反核についての日本の主張に支持が広がっている」
○南ア批判を明確に
 「いまの軍縮の動きは非常におかしい。軍備を持っている国に発言権があり、軍備のない国は会議にも加われない。これは逆で、持ってる国に対して持つなというのが軍縮。その意味で、日本は重要な役割を果たせる条件がそろっている。ほかの国が決めたことに便乗するのではなく、こちらから新しい範を垂れるべきで、日本の提案が納得のいくものであれば、日本の意図が誤解されたり曲解されたりして批判の対象になることはそれほど考えなくていい。われわれはいままでこのことを警戒しすぎていた」
 ――人権の面ではどうか。
 「これはやや難しい側面があるが、ここでももっと貢献すべきではないか。たとえば、南アフリカ共和国のアパルトヘイト。日本はもっとはっきり、この人種隔離政策を非難する立場を明らかにすべきだ。そうすると、南アで商売をする日系企業が被害をこうむるかもしれないが、『企業利益第1、人権第2』という態度に対する批判には、日本政府も企業ももう耐えられなくなってきている。従って、人権という、より高次の価値追求のために日本の企業の利益をある程度犠牲にすることも考えていかざるをえないのではないか。日本はもうそれだけの経済力を身につけている」
○ユネスコ内改革を
 ――日本は安保理の常任理事国ではないが・・・。
 「安保理と国連の安全保障機能を考えると、一番不満を持っていいのは実は日本と西独だ。“これだけ金を出しているのだから、もっと発言権を与えよ”とか、“拒否権はなくても安保理の常任理事国としての地位を認めろ”と主張してもおかしくないのに、両国ともこの点にあまり固執していない。要求が入れられないからといって、国連を脱退するといった態度はさらさら見せていない。これは日本にとっても賢明な政策だったと思う」
 ――中曽根政権は、レーガン米政権のユネスコ脱退を受けて日本も追従するような態度を見せている。
 「米国がユネスコを脱退した主な理由は(1)新国際情報秩序への反発(2)反イスラエル、親アラブ寄り路線への抗議(3)ムボウ事務局長をはじめ事務局の腐敗――の3つだ。しかし、日本は(1)と(2)では米国と立場を同じにするとはいえない。だから、日本はもっと客観的に、つまり中にとどまって改革をはかる方がいいように思う。とくに米国が抜けたあと、日本の発言権はいや応なしに高まるのだし、日本がユネスコからとくに不利な待遇を受けているわけではない。今回の中曽根発言は、レーガン政権を支持してという同情スト的印象が強い。日本の国民的世論というより、中曽根さんの政治判断といっていいのではないか」
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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