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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/05/03 朝日新聞朝刊
日本への期待 平和維持に参加を(国連・40年の光と影:16)
 
 大学教授と弁護士。国際法の権威として知られるリチャード・ガードナー・コロンビア大教授(57)は“2足のワラジ”を巧みにはき分けている。
○政治分野も進出を
 会ったのは、マンハッタンの中心、パンナムビル15階の法律事務所。秘書より先に部屋にきて、書類の山と格闘していた。
 「私は、日本に国連でもっと積極的に活躍してもらいたいと願っている。日本の経済力が高まるとともに国連総会や国際通貨基金(IMF)、国連開発計画(UNDP)での存在価値は一段と高まった。しかし、それらは経済関係が中心。政治分野ではもっとイニシアチブを取ってほしい」
 ――具体的に、どんな仕事か。
 「平和維持活動への参加がまずあげられる。再軍備を禁じた日本国憲法9条の存在を知らないわけではないし、この問題について国内に強いアレルギーがあることも承知の上で、私はこのことをあえて提言したい」
 ――自衛隊を中東などに派遣せよということか。
 「第1に、日本の船や航空機を使っての国連軍の輸送支援。第2は、通信機器の供給、場合によっては専門家を国連軍に同行させる。第3は、医療、病院施設の供給と、医療チームの派遣。そして、最後には、日本が国連軍の一部として平和維持に直接に参加する。どんな場所にどの程度の人員を送るかは日本自身が決めればいい」
 ――たとえばどこに。
 「アジアはまずいかもしれないが、中南米などはいいのではないか。日本の国連軍参加は、国連にとっても、日本にとってもプラスになると信じる」
 ――平和維持活動もさることながら、日本は安保理のメンバーとして寄与すべきだとの声がある。
 「日本は常任理事国にぜひなってほしいが、日本を加えるには国連憲章改正が必要だ。ところが、ソ連は憲章をいじることには絶対反対している。となると、現実の問題としては日本がアジア地域の代表として少なくとも4回に3回ぐらいの割で非常任理事国として安保理に出てきてもらいたい。小国にメンバーになる資格がないといっているのではない。安保理に政治と経済の実態を反映させるために、日本が必要なのだ」
○カナダなど見習え
 ガードナー教授と話し合った翌日、コロンビア大学にJ・ラギー教授(44)=国際関係=を訪れた。彼は月に2、3回、国連の調査活動などを手伝っている。同教授にも「日本と国連」について意見を求めた。
 「ここ数年、日本の活躍は目立っている。アフリカ飢餓ではまとめ役として大きな業績を残したと思う。だが、日本の国力に見合う活動とは思えない」
 ――それは政治面でか経済面でか。
 「両方でもっと動けるのではないか。日本は安保理の常任理事国でないから、持てる力を発揮できないという人がいるが、それは言い訳にすぎない。安保理のメンバーでなくても、たとえばカナダなどは日本より多くの分野で国際世論を引っ張るイニシアチブを取っている。平和維持活動についてもそうだ」
 ――分担金と拠出金でも日本は米国に次いで実質的にはナンバー2の貢献をしている。
 「たしかに資金面での協力は絶大だ。だが、国連本来の理念からすると、財政寄与を数少ない国にのみ頼るのは必ずしもよくない。分担金では米国が全体の25%、日本は12.5%、合わせると、3分の1を占めるが、1国の分担率の上限を10%にすべきだとの意見もあるくらいだ」
○ミドルパワー代表
 ――というと、日本は金よりも人を出せということか。
 「総会、委員会、専門機関を問わず、日本が自分たちの考えなり、意見をどしどし述べたらどうだろうか。経済社会理事会などは決議を採択するだけで、実のある仕事はほとんどしていない。日本が自分たちの改革案を示し、各国を引っ張って組織を立て直すぐらいのことはできるはずだ」
 「小国はしゃべりすぎると非難されるが、それは実力を持った大国がおとなしすぎるからでもある。資金、人材、アイデアを持ったミドルパワーの代表として、日本の出番を期待するのはわれわれだけでは決してない」
 ちなみに、両教授とも大変な知日家である。
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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