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1985/05/02 朝日新聞朝刊
再活性化 関心示さぬ先進国(国連・40年の光と影:15)
○大局的見地で調整
「159カ国の寄り合い所帯だから、国連という組織が多くの欠点を抱えていることは確かだ。だが、国連の是非論議の対象となるのは、ほとんどが政治面ばかりで、経済、社会、人権などの分野は無視されがち。これでは片手落ちではないか」
「それに、国連批判は主として大国の尺度で行われ、われわれのような小国が国連にいかに多くの恩恵をこうむっているかについては言及されない」
アンワルル・チョウドリー・バングラデシュ公使(次席国連常駐代表)はいう。バングラデシュは74年、ギニア・ビサウ、グレナダとともに国連に加わった“新参組”の1つである。
彼が主として国連で手がけるのは経済社会理事会。「経済的、社会的、文化的、人道的な国際問題を解決する」との理想を掲げる機関だが、「会議と決議ばかり」と、米ソはあまり関心を示さず、加盟国の一部からも風当たりの強いところだ。
「経社理は安保理のような派手な活動はしてないかもしれないが、人類、とくに途上国の人たちが直面しているさまざまな問題を討議し、新しいアイデアを生み出す場として重要な存在だ」
「国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)は専門機関として大きな評価を得ているが、これらの活動計画を大局的見地から調整するのも経社理の役目。人口、人権、婦人、麻薬といった機能委員会の任務も大きい」
チョウドリー公使が指摘するように、経社理は“弱者の立場”に立った機関で、バングラデシュをはじめとして途上国から期待をかけられる半面、先進国側からは「お題目ばかり多くて実質的中身がない」(ソルザー米次席大使)と、冷たくされがちである。
○批判と不信感生む
この点について、経社理の今年の議長を務める小林智彦・日本代表部次席大使はこう指摘する。
「60年代後半から70年代にかけて、個々の具体的活動をする専門機関や委員会が増えていく中で、経社理はおのずと体質改善を迫られ、よくいえば具体的な経済協力より少し次元を高くして“南北対話”を手がけた。これは、経済も広い意味で政治問題である、との認識を深めた点で成功だったといえるが、半面、抽象的議論を重ねているうちにイデオロギー的にならざるをえない面が出て、“声の大きい方”に引っ張られる傾向を強めた。ここから援助を行う国々の間に、国連の南北対話は有害であるとの批判と不信感を生んだ」
チョウドリー氏も経社理のこの欠点は十分承知しており、「だから、われわれはこの数年、経社理の再活性化に真剣に取り組んでいる」と強調する。
具体的には、(1)議題を絞り、第2委員会(経済・財政)との重複を避ける(2)製紙工場と陰口をたたかれるような文書の乱造を慎み、文書をいちいち6カ国語に翻訳する必要性の再検討(3)下部委員会の会合を年一度から隔年開催へ、など。
「こういう制度や手続きの改革もさることながら、まず是正しなければならないのは、各国代表の個人プレーではないか」と、ある西側関係者。
本国政府の意向もたださずに、ただ自分が目立ちたいために決議を出す。このため、本質的に重要でない決議がどんどん通るようになり、これが組織の弱体化を促進している、というのだ。
「こういった欠陥があるからといって、経社理の存在価値をうんぬんするのはどういうものか。途上国にとってなくてはならない機関であることは前に強調した通りだが、2国間援助を引き出す“呼び水”的効果も大きい。たとえば、人口委員会がいくつかのプログラムを作成する。国連機関としては予算面などで手がつけられない計画を特定の国に引き継いでもらう。こういうケースはよくある」
チョウドリー氏の弁である。
○新たな活路求めて
発足当時、重要国の経済政策責任者を一堂にそろえた経社理も、いまでは代表団も小つぶになって、ここでの決定が国際経済社会に与える力はほとんどない。それでも、昨年から今年にかけて、アフリカ飢餓作戦のまとめ役で成功したように「国連でなければできないこと」に新たな活路を求めようとしている。
(ニューヨーク=久保田特派員)
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