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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/05/01 朝日新聞朝刊
進まぬ行革 多い名のみの組織(国連・40年の光と影:14)
 
 「国連では何人が働いているのか」
 「半分かな? 3分の1ぐらいかもしれないね」
 質問者は、国連の職員数(1万6000人)を尋ねているのに、回答者は、実際に仕事をしている人の数を答えているのである。
 これは、国連に関するジョークでは古典といっていいほど、古くからよく口にされているという。
 質問するのは、国連本部を訪れる小学生グループでも、外国人旅行者でも、だれでもいい。返事も人によってさまざまなのだが、「全員が働いている」といった答えがないところがミソである。
○日時を決めるだけ
 ジョージ・アービング職員組合委員長にこの質問をぶつけたら、だいぶ長いこと考えていて「4人に3人」と。働いていないのは4人に1人しかいないというわけで、私が耳にした返事の中では、一番点が甘かった。
 もう1つ、国連の“お役所仕事”の典型として、いつも例に引かれるのが軍事参謀委員会である。米ソなど安保理常任理事国5カ国の参謀総長代理(佐官クラス)は軍服姿で2週間に一度ずつ会合を続けているが、議題は毎回ただ1つ。次回の会合日時を決めることだけで、数分で散会となる。それでも83年11月17日の1000回を記念する会ではシャンパンで“長寿”を祝った。
 「(国連軍の)兵力使用および指揮などのため安保理に助言、援助を与える」(47条)との使命をおびる同委員会だが、国連軍の規模について米ソの意見が対立し、いまだに陸海空3軍からなる国連軍の設置には至らず、会合だけが続いている。(現在、中東などに派遣されている“国連軍”は、事務総長指揮下に置かれた平和維持軍で、憲章に定められた国連軍ではない)
 それだけに委員会解体論があるが、「憲章にあるのだから・・・」と、事務局や委員会関係者はいう。
○夏休み用の会合?
 国連には総会および安保理など3つの理事会の補助機関として、主要、運営、常設、特別、補助などさまざまな委員会があり、各委員会が細かい会に分かれている。委員会と名のつく組織は100を超えるのではないか。
 軍事参謀委はいまだに出番が与えられていない例だが、植民地独立付与宣言履行委員会(24カ国で構成)などは、歴史的使命を終えた存在といえる。国連発足以来、植民地が相次いで独立し、いま問題になっているのは旧南西アフリカのナミビアぐらいである。それにもかかわらず、委員会の組織は前のままだし、“目玉”であるナミビア問題は、国連ナミビア理事会、アパルトヘイト特別委員会がそれぞれ別途に審議している。
 3つの理事会の1つ、信託統治理事会は、かつて11あった対象地域が現在は南太平洋一地域に減少し、手持ちぶさたといった状態だが、主要委員会の特別政治委と第4委でも信託統治討議を中心にしている。
 経済社会理事会は、組織会期(2月、ニューヨーク)、春会期(5月、ニューヨーク)、夏会期(7月、ジュネーブ)と3つの会期を持つ。が、「春会期での話が半年たって総会で蒸し返される」「会期は1つでいい。夏に、わざわざジュネーブで会合を持つのは、欧州の連中が会議のあと夏休みをとるためだ」(西側国連代表部)と、外野席はいろいろうるさい。
○決議踏襲する総会
 こういった理事会と委員会の仕事の重複やムダを避けようとの声のほかに、総会そのものの合理化要求もある。
 9月に総会が開始されると、各国代表の演説が続く中で、主要委員会が議題の討議に入る。総会では各委員会での検討を踏まえて決議案の採否を行うことになっているが、ここで委員会の議論がそのまま繰り返されることが少なくない。委員会で出なかった話が突如飛び出して会議を混乱させる。しかも、採択される決議の多くはこの数年間、一字一句違わない。「これでは、総会は本来の任務である“世論形成の場”になりえない」というわけだ。
 こうした批判を基に、憲章特別委が80年から3年がかりで各国からの提案を集め、行政改革に乗り出した。しかし「国連憲章に触れるような改革はタナ上げ」(仏、ソ連)され、結局、竜頭蛇尾に終わった。40周年を機に、行革審議を再開しようとの動きが、カナダを中心にある。
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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