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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/04/26 朝日新聞朝刊
米国の論理 平和守る役割評価(国連・40年の光と影:11)
 
 いま、世界で最もとんでる女性といえるのではないか。3月末に米国連大使を辞任したジーン・カークパトリック女史(58)は、レーガン政権の外交政策づくりに参画する一方で、講演旅行で国の内外を駆けめぐる。
 同女史をニューヨーク郊外のケネディ空港でやっと捕まえた。アリタリア航空1等待合室。会見時間は、ワシントンからの国内便到着直後から国際便出発までの1時間少々。
○孤立と無力を実感
 ――国連大使として4年間、国連を中から見て、こんどは外から観察する立場になったが。
 「大使就任時、国連内部で米国がこれほど孤立し、無力になっているとは想像もしていなかった。総会にしろ安保理にしろ、決議案の“生殺与奪権”を握っているのは、加盟159カ国の3分の2近くを占める非同盟諸国グループだった」
 ――あなたは、非同盟を筆頭とする地域機構などによるブロック化現象が国連をだめにしているとして批判していた。
 「彼らは、都合の悪いことはなんでも米国の責任にする。第三世界の貧困は米国の責任、中東のテロも、南アの人種差別も米国の責任だという。米国をスケープ・ゴートにし、他人の罪を負わせていた。私が大使になって、この種のいわれなき非難、批判に反撃を加えた」
 ――殴られたら殴り返す?
 「そういうわけでもないが、“殴って下さい”との看板をはずし、殴られてなおかつ謝るようなことは断固排除した」
 「国連は私の目には、1950年代に欧州に現れた、人間の行動や経験を無目的と見る、不条理演劇のように映った。たとえば、イスラエルとは縁もゆかりもない国々が、寄ってたかって激しいイスラエル批判を繰り返す。こんなことをしても問題の解決に役立たない。事態をこじらせるだけだ」
○見直しの動き出る
 ――努力の成果は。
 「在任4年のうち、はじめの1年半に警鐘を鳴らしたのが功を奏し、国連の本来の姿を見直そうとの動きが出てきた。いい方向に向かい出したと思う」
 ――国連の平和維持活動をどう評価するか。
 「国連は現実の国際社会と遊離しているところがあり、米国社会には国連を無力視する傾向が強いが、この国際機構が平和維持で果たした任務は大きい。60年のコンゴ、65年のインド・パキスタン戦争、74年のキプロス。過去、4度にわたる中東戦争でも戦闘終結のために働いている」
 ――では、83年、パレスチナ解放機構(PLO)のベイルート撤退の際、なぜ国連に頼まずに米海兵隊を派遣したのか。アンドルー・ヤング・アトランタ市長(元米国連大使)は「海兵隊の代わりに国連軍が派遣されていれば、300人近い犠牲者を出す惨事は起きなかったはず。海兵隊を送ったのはレーガン政権の大失態」と批判している。
 「われわれは、好んで海兵隊をレバノンに派兵したのではない。ソ連が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の任務拡大に反対し、国連軍を動かすわけにいかなかった。事態は緊迫しており、やむを得なかったのだ」
 ――安保理であなたのライバルだったトロヤノフスキー・ソ連大使評をうかがいたい。
 「(やや考えて)経験豊かで、国連の内部を熟知した外交官」
○長期戦略に欠ける
――ソ連と比較して、米政府の多国間外交は下手だとの声が国内にある。
 「ソ連が長期戦略を持っているのに、米国にはそれがない。国連など国際機関の専門家も育っていない。交代も早すぎる。考えなければならない点だ」
 ――米国にとって、国連とはなにか。ユネスコから脱退したようなケースが、国連本体でも予想されるか。
 「米国の国連からの脱退に私は反対する。国連の存在価値を過少評価してはなるまい。国連内部で、目的意識を持って一貫性のある活動を続けて行けば、仲間をわれわれの方に呼び戻すことができる。それが可能なことを私がこの4年間で証明したと考えている」
 (最近、民主党から共和党に移ったのは、「民主党の外交政策の一部をどうしても受け入れることができなかったため」で、「レーガン政権下の重要なポストにつくためではない」と強調。他の大使就任の可能性も「ない」。もっとも「私は1、2年先のことしか考えていない」と笑った)
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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