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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/04/25 朝日新聞朝刊
地味な安全弁 核戦争へ拡大阻止(国連・40年の光と影:10)
 
 国連憲章は第1章第1条で、国連の目的として「国際の平和および安全を維持すること」を掲げる。それでは、この国際機構は、過去40年、戦争防止と平和の維持にどの程度役立ったのだろうか。
 国連創設以来、平和維持問題を手がけ、「ミスター国連」ともいわれるブライアン・アークハート事務次長(66)にただした。
 ――国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の半年駐留延長が18日の安保理で賛成13、反対ゼロ、棄権2(ソ連、ウクライナ共和国)で決まったが、イスラエルは「UNIFILには南部レバノンの和平を維持し、ゲリラの対イスラエル越境攻撃を阻止する力がない」と不信を表明、米国も「UNIFILの現在の任務は不適当で不十分だ」と批判した。
 「批判ではなくて意見の相違だと思う。いま極めて複雑に動いているレバノンで、UNIFILは最高に近い仕事をしているといえる。10カ国5800人の構成はバランスがとれており、兵士の質も士気も高く、南部レバノンの住民から愛され、信頼されている」
○停戦への圧力必要
 ――あなたはフォーリン・アフェアーズ誌81年秋季号に、「この20年間を振り返って、戦争当事国が絶望的に行き詰まるか、大国が一致して停戦実現のために圧力をかける時には、安保理はおおむね戦争終結のための機構を提供した」と書いている。そうでない時には安保理に戦争をやめさせる力がないことをイラン・イラク戦争が証明したといえる。
 「この場合は、安保理が具体的措置を何もとらず、事務総長に戦争終結の責任をまかせてしまっている」
 ――50年6月にぼっ発した朝鮮戦争では国連加盟16カ国からなる国連軍が派遣された。
 「あの年は、中国代表権問題で国民政府(台湾)を排除する決議案が否決されたのに抗議したソ連が、1月から理事会を欠席し、拒否権を使えなかった。それで派遣できたわけだ」
 ――その後、56年のスエズ動乱の際の国連緊急軍(UNEF)、60年のコンゴ派兵といった具合に、国連軍の派遣は10数回に上るが、朝鮮戦争が“特殊ケース”といわれる理由は。
 「あの時は、侵略行為の排除、つまり戦闘行為を主目的とした軍隊だ。スエズやコンゴなどその後の場合は、平和と秩序を守るための警察的任務を主とする軍隊で、性格が違う」
○警察的任務で実績
 ――戦闘部隊の派遣は朝鮮戦争が最初にして最後か。
 「米ソが反目している現状ではおそらくそうでしょう。火星から地球に戦争でも仕かけられれば別だろうが・・・(笑い)」
 ――では、警察的任務で成功した例は。
 「それはいくらもある。古くは第1次中東戦争(パレスチナ戦争)で派遣された国連パレスチナ休戦監視機構(UNTSO)、第2次中東戦争(スエズ動乱)でのUNEF。この軍隊がシナイ半島に駐留したために、同地域で10年間の和平が保たれたといっていいのではないか」
 ――では、UNEFはなぜ、67年に引き揚げたのか。その直後に第3次中東戦争(6日戦争)が始まった。
 「ナセル大統領の強い要請に従わざるえなかった」
 「コンゴ事件も、コンゴの独立を保てたのは国連軍の力に負うところが大きいはずだし、74年のキプロス紛争も、国連キプロス平和維持軍(UNFICYP)が戦火の拡大を防いだ。73年の第4次中東戦争ではシナイ半島とゴラン高原にそれぞれ部隊を送って成功を収めた」
 ――今後の課題は。
 「なんといっても紛争が核戦争に広がるのを阻止することだ。そういう意味では、地域紛争への米ソの介入を防ぐのが国連の大事な使命といえるかもしれない。このケースで成功したのは、62年のキューバのミサイル危機と、74年の第4次中東戦争がある」
○5大国協調が大切
 ――この40年間に、幸い世界戦争が起きなかったのは、国連の平和維持活動に負うところが大きいのか。
 「そうばかりとはいえないが、批判されながらも国連軍が果たしている“安全弁”としての役割は大きい。5大国が協調してくれれば、その効果は飛躍的に上がる」
 こう語ったアークハート氏は、安保理の非公式協議のため、そそくさと執務室を後にした。
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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