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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/04/13 朝日新聞朝刊
超大国の不満(国連・40年の光と影:2)
〇援助は具体的成果
 国連本部の総会場に向かい合う格好で十二階建ての細長いビルが立っている。
 総勢百三十人と、加盟百五十九カ国の中でソ連とともに最大の陣容を誇る米国連代表部の本拠である。
 一階応接室の壁に、エドワード・ステチニアス氏からジーン・カークパトリック女史まで歴代国連大使十六人の名が出身地、在任期間とともに書かれている。カボット・ロッジ、アドレイ・スチブンソン、ジョージ・ブッシュ、アンドルー・ヤングの各氏ら多彩な顔ぶれである。
 「最長記録は三代大使、ロッジの七年。二番目が私で、目下四年半」
 次席のホセ・ソルザノ大使は誇らしげにいった。米代表部には、首席、次席のほかに安保理、経済社会理事会、官房を担当する三人と、合わせて五人の大使がいる。カークパトリック女史がジョージタウン大学に戻ったいま、ソルザノ氏は首席大使を兼任している。
 ――カークパトリック女史とあなたは、本来の機能を果たしていないとして国連を批判しているが・・・。
 「国連がすべて悪いといってるわけではない。難民救済、第三世界への技術援助、医療などでは具体的な成果を上げている。しかし、技術や経済以外の分野、たとえば政治面では成功していない。もっと成果を収められるはずだ」
〇決議もおざなりで
 ――具体的にいうと?
 「イラン・イラク戦争がいい例だ。四年半にわたって、一方は化学兵器を使い、一方は子供まで戦場に駆り出して殺し合いを続けているのに、安保理や総会はおざなりともいえる決議を採択しただけで、なにもやっていないにひとしい」
 ――なぜ、できないのか。
 「理由は三つある。ひとつは国連は加盟当事国が政治的解決を求めなければ、こちらから一方的に手を出すことはできない仕組みになっているということ。二番目は、五大国(米英仏ソ中)の協調を基盤に生まれた国連が四十年たったいま、東西両陣営に分裂し、共同歩調が取りにくくなっているということだ」
 「それに総会と安保理の中に広がっている非同盟のブロック化現象。彼らは身内を非難しない“紳士協定”を結んでいるから、なにもしない。過半数を占める彼らがこういう態度をとると、国連の組織はマヒしてしまう。これが国連の政治活動を妨げている三番目の理由だ」
 ――事務総長の役割をどう評価するか。
 「総会と安保理がそれぞれ機能を低下させている中で、緊急を要する国際紛争の仲裁者として、事務総長の重要性は高まっている。キプロス、フォークランドでデクエヤル氏はいい手本を見せてくれた」
 「だが、国連事務局の国際官僚機構には不満がある。五万二千人という人数が多すぎるし、給料も高すぎるなど、ムダが多い。事務次長クラスの手取りが、米政府閣僚の給料より50%も高い」
〇矛盾を見直す好機
 ――安保理常任理事国の五大国だけが持つ拒否権について。
 「一国一票主義は国連総会が掲げる理念だが、理念だけでは国連は存在できない。大国には大国の責任と義務がある。拒否権制度がなければ、ソ連は国連に加盟しなかったろうし、米上院もOKしなかったろう」
 ――国連の将来は明るいのか、暗いのか。
 「問題はたくさんある。この国際機構の未来に悲観的評価を与える人も多い。だが、国連がさまざまな矛盾を抱え、正すべき点が多いことを認識する加盟国が増えているのは明るい材料だ。四十周年は国連を見直すいい機会だ」
 「国連は公開主義を建前にし、なにも秘密はない。だが、組織は巨大、複雑で、国連の全体をわかっている人はほとんどいない。これはミステリーに近い」
 ソルザノ大使はこういって笑った。四〇年、キューバに生まれ、二十一歳の時、ポケットに五ドルをしのばせて米国に亡命、苦学力行の末、六九年からジョージタウン大準教授。“親分”のカークパトリック女史が去って、彼も夏には代表部を他の大使とともに去り、ここはウォルターズ新大使の下、幹部が総入れ替えになる。
(ニューヨーク=久保田特派員)
 
 
 
 
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