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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1989/01/07 朝日新聞夕刊
1989年に「即位の礼」 諸儀式、憲法上の問題も
 
 皇位の継承があったことで、皇室は62年ぶりにお代替わりを迎え、これから2年間にわたって、故陛下の大喪儀と新天皇の即位にともなうさまざまな儀式が行われる。
 これらの儀式は、旧憲法下ではすべて国家行事として行われたが、戦後の新憲法によって、天皇が儀式として行う国事行為は限られ、国の宗教的活動も禁止された。このため、今回の皇位継承に伴う一連の儀式については「憲法適合性」に配慮し、宗教色のない一部だけを国の行事とし、その他の部分については皇室行事として行う、という形で進められることになる。
 しかし、もともと一連の儀式は皇室神道と分かちがたく結びついているうえ、宮内庁は皇室行事として行われる諸儀式については、「憲法の趣旨に沿いつつも、伝統を尊重していく方針だ」としている。当面の故陛下の葬送儀礼も、大正天皇の時より簡素化はされるものの、さまざまな儀式はほとんど変わらぬ形をとることになるものとみられ、具体的なあり方をめぐっては、問題を投げかけることになりそうだ。
 大喪の礼から即位の礼までの主な皇室行事をあげると次のようになる。
【大喪関係】
 ▽しん殿(しんでん) 亡くなられた陛下のご遺体は吹上御所2階の寝室から平素起居された1階の居間に移され、そこをしん殿として、内輪の通夜が営まれる。崩御翌日の夕刻、ご遺体を柩(ひつぎ)に納めるお舟入りの儀があり、新天皇はじめ皇族、親族や側近たちのお別れ(拝訣=はいけつ)がある。
 ▽殯宮(ひんきゅう) 吹上御所に安置された柩は約13日後、皇居・正殿松の間に設けられた殯宮に移され、公式の通夜が始まる。竹下首相をはじめ衆参両院議長、最高裁長官ら国内各界の代表や駐日各国大使がお別れする。一般国民の弔問も、一定期間、宮殿東庭で行うことが検討されている。
 殯宮ではおよそ1カ月の間毎日、生前に陛下が好まれた食物などを供える日供(にっく)の儀があり、10日ごとにお祭りがある。また、新天皇が故陛下に追号(ついごう)を贈られる追号奉告の儀も、殯宮で行われる。
 ▽斂葬(れんそう) いわゆる大喪の中心儀式。国が主催する「大喪の礼」は、この中の一部として行われる。期日は、明治天皇、大正天皇と同じように崩御後45日目がめどだ。
 斂葬の儀では、一般の告別式にあたる葬場殿の儀(そうじょうでんのぎ)と、埋葬にあたる陵所の儀(りょうしょのぎ)がある。葬場は大正天皇と同じ新宿御苑で、ご陵も同じ八王子市長房町の武蔵陵墓地(むさしりょうぼち)になる。
 国が行う「大喪の礼」は、皇居・正殿の殯宮から葬列を組んで新宿御苑に向かう轜車発印の儀(じしゃはついんのぎ)から始まる。葬場殿で皇室行事が行われたあと、全国いっせいに黙とうが行われ、新憲法下初めての「大喪の礼」となる。そのあと再び葬列が組まれて武蔵陵墓地に向かうが、同陵墓地で行われる陵所の儀は、国事行為ではなく皇室行事である。
 大正天皇の斂葬は、夜から翌朝にかけ2日間にわたったが、今度は昼間、1日で終わる。また、葬列も牛車ではなく自動車列となる。
 ▽権殿(ごんでん) 斂葬当日、亡き陛下の霊代(れいだい=みたましろ)を、陛下が平素使われていた宮殿・表御座所の「芳菊(ほうぎく)の間」にまつり、権殿とする。1周年祭の後、宮中3殿の1つ、皇霊殿(こうれいでん)にお移しする。権殿と陵では10日ごとのお祭りと50日祭、100日祭、1周年祭の儀がある。
 このような儀式が続く丸1年間、新天皇をはじめ皇族は喪に服され、慶事の宮中行事はとりやめとなる。
【即位の礼関係】
 新天皇は、天皇ご逝去と同時に即位されたわけだが、これを国内外に宣言する国事行為としての「即位の礼」は、1年間の喪が明けた後に行われる。このため、喪が明けると直ちに即位の礼の諸準備が始まる。即位の礼は外国王室の戴冠式(たいかんしき)にあたるが、秋が選ばれるのは、新天皇がその年の新米を神に供え、共に食するという皇室伝統の行事、大嘗祭(だいじょうさい)が同時に行われるためだ。
 大正、昭和の両天皇は、旧皇室典範に基づき、即位礼、大嘗祭とも国家行事として京都御所でされた。しかし新天皇の場合、お祝いに来日する外国元首級の人びとや国民代表の参列の便などを考えて、皇居を中心に東京で行われる公算が大きい。
 この中で、最も問題になるとみられるのが、秘儀とされる大嘗祭を、国事行為として行うか、どうか、だ。
 皇位継承に伴う諸儀式について、昭和54年4月の衆院内閣委員会で当時の真田秀夫内閣法制局長官は「国事行為として行われる部分と、天皇家、皇室の行事として行われる部分を分けて考えている。従来の大嘗祭の中身は神式で行われており、特定の宗教活動を禁じた憲法(20条3項)によって、国が大嘗祭という儀式を行うことは許されない」という見解を示した。また、当時の富田朝彦宮内庁長官は、同委員会で「これらの儀式の持っている伝統や憲法の諸精神を十分に尊重し、国民統合の象徴である天皇の地位にふさわしいものになるよう、考えていきたい」と述べている。
皇位継承の順位
 天皇陛下がご逝去され皇太子明仁(あきひと)親王が即位されたのに伴い、皇室典範による今後の皇位継承順序は以下の通りとなった。
 (1)皇太子徳仁(なるひと)親王
 (2)礼宮文仁(あやのみや・ふみひと)親王
 (3)常陸宮正仁(ひたちのみや・まさひと)親王
 (4)三笠宮崇仁(みかさのみや・たかひと)親王
 (5)三笠宮寛仁(ともひと)親王
 (6)桂宮宜仁(かつらのみや・よしひと)親王
 (7)高円宮憲仁(たかまどのみや・のりひと)親王
 
 
 
 
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