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1987/09/18 朝日新聞朝刊
天皇ご訪問で沖縄の戦後は終わるか 朝日新聞社が沖縄世論調査
「戦後終わる」11%、「終わらぬ」48% 複雑な県民感情を反映
42回目の終戦記念日を迎えたことし、沖縄は本土に復帰して満15年たった。天皇陛下が国体ご出席のため、この10月に戦後初めて訪問される。朝日新聞社は沖縄タイムス社の協力を得て、9月2、3の両日、先島を含め沖縄県全体で世論調査を実施し、沖縄にとっても皇室にとっても、大きな節目となる「天皇訪沖」の賛否や皇室への親近感などについて、沖縄県民の意識を探った。その結果、天皇ご訪問には約6割が「賛成」で、「反対」の1割を大きく上回った。しかし、「ご訪問で沖縄の戦後は終わる」という考え方には、約5割が反対で、皇室観でも「親しみを持っていない」が半数近くを占め、「持っている」を上回った。天皇訪沖に歓迎ムードながら、「戦後は終わった」と片付けられることに強い不満感を示す県民感情とともに、悲惨な沖縄戦と27年間の異民族支配を経験した沖縄ならではの皇室観を物語る調査結果となった。
天皇訪沖に対する賛否は、賛成57%、反対11%で、県民の約6割が歓迎の意向を示している。また、戦後初めて天皇を迎える県民の率直な気持ちを聞いたところ、「もう少し早く来てほしかった」が最多で32%、「天皇訪沖は沖縄にとって特に意味を持たない」21%、「関心はない」18%などの順だった。
県民に述べられる天皇のお言葉については、「ある程度関心がある」「大いに関心がある」を合わせた62%が、「それほど関心はない」「全く関心はない」の計36%を大きく上回った。
このような歓迎ムードとは裏腹に、西銘順治沖縄県知事が7月の天皇招請時に語った「天皇の訪沖で、沖縄の戦後は終わる」という意見には、48%が反対、賛成は11%だった。さらに、天皇訪沖の際に見てもらいたいものとしては、「戦跡」が55%で、「街の発展ぶり」の10%などに比べ、大きな意識の差がみられた。戦後40余年のいまなお、戦没者の遺骨が発見され、県民所得などで本土との格差が縮まらない一方、全国の在日米軍専用施設の75%が集中する沖縄にとって、「天皇訪沖だけで戦後を終わらされては」という思いは強いようだ。
ところで、かつては「琉球王国」として存立し、本土と大きく異なる歴史を持っているうえ、集団自決や住民虐殺など市民を巻き込んだ悲劇が数多い沖縄戦を体験した沖縄の特殊事情は、皇室観にも反映している。皇室に「親しみを持っている」が37%に対し、「持っていない」は47%。51%対37%だった昨年3月の本社全国調査とは、親しみ感が逆転しており、沖縄県民の皇室に対する距離感がうかがえる。
また、天皇に対する気持ちでは、「何も感じない」が54%と過半数を占め、「尊敬」23%、「親しみ」14%、「反感」5%だった。「尊敬」と「親しみ」を合わせると55%だった昨年3月の全国調査に比べても、沖縄の複雑で屈折した感情が読みとれる。天皇制では、「天皇は今と同じ象徴でよい」が78%で、「象徴天皇」が沖縄でも根付いていることを示している。
一方、文部省が60年、公立学校での日の丸の掲揚、「君が代」斉唱の徹底などを求めた通知を出したのをきっかけに、沖縄県内ではさまざまな対立が表面化した。この文部省の姿勢の是非では、賛成が47%、反対29%で、60年10月におこなった全国調査の割合62%対20%に比べると、賛成が低めなのが目立つ。さらに、復帰運動の象徴にもなった日の丸を好きという人は60%だが、「君が代」は49%にとどまり、日の丸と「君が代」への感情に微妙な差がみられた。
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