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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1987/05/22 朝日新聞夕刊
王様の税金と納税の王道(深海流)
 
 世界の王様はいい納税者か、私有財産はあるか、どんな墓地かなど、幾つかの王国の大使館に聞いてみた。
 まずヨーロッパ。税制で王様を優遇する国と一般国民とほとんど同じという国がある。優遇国の1つはノルウェーで、「課税されません」という。
 オランダでは、王室はつい先年まで憲法で「すべての対人税を免除される」が「その他の諸税は免除されない」とされた。が、4年前の憲法改正で相続や贈与でも非課税になった。
 優遇がないのはスペイン。返事は、
 (1)王室の財産(土地、建物など)は、国に所属し、その管理は独立した機関であるパトリモニオ・ナシオナル(国家の財産を管理する庁)に任されている。国王は私的財産を有する。
 (2)国王及びその母親は、エル・エスコリアル僧院に埋葬される。このモナステリオ(僧院)は国の所有である。
 (3)王室は一般市民と同様に、直接税、間接税とも税金を納めている。
 (4)王室は財産を相続する時に相続税が課せられる。
 スウェーデン王室も同様。私有財産の性格は市民と変わらないが、城にある美術品などについて特別の配慮をする程度。墓地については、王夫妻が国有のハガ城に墓の権利を持つが、維持、管理は公費。遺産相続は市民と同じ。「だが、1975年までは王室員に対しては課税率が低かった」。オランダとは逆に課税が強化された。所得税は王様の歳費については無税。その他の収入や財産については市民と同じ。
 英国では女王は無税。歳費も個人資産や領地の収入も非課税。ただ他の王族は別で、例えば皇太子のプリンス・オブ・ウェールズ領の資産と収入には課税される。これら特権と王室費について、ザ・タイムズは、「それに値するか」と自由に分析している。
 アジアの王室で「そもそも税のない国ですが、ザカート(喜捨)があります」と返事をくれたのがサウジアラビア。喜捨は収入、財産で額が決まり、一番金持ちの王様は、率先垂範、一番多くの喜捨をする。墓地は「ほかの人と同じ」。葬って石を載せるだけだ。
 日本はどうか。といっても憲法上「王が統治する世襲君主国」のスウェーデンなどと違い、国民主権の日本の「皇室」は他王室とは性格が全く違うが、それはともかく所得税法で「内廷」費と「皇族」費は非課税。
 この点、相続税や贈与税は免除規定がなく、相続や贈与があれば税金を払う義務が生ずる。
 しかし、今度の高松宮家の相続の場合は、政府の説明によると、実際には一部を払わないですむ措置がとられるようだ。「故殿下のご遺言により」、遺産の一部(評価額約350億円)を国へ寄付し、国会の議決で承認されると、巨額の遺産が消え、その部分の相続税も消滅するのである。
 一般人も同様にして相続税を節約できるが、国は寄付財産を競売などにして、結局遺産を失うだけの話。ところが宮家の場合は、国会で承認されれば、寄付される土地等は皇室用財産として、引き続き皇室の使用とされる。これが英国なら「税逃れではないか」と書かれるだろう。「皇室」への課税を避けたいなら、外国のように法の改正でするのが王道ではないか。
 天皇家の財産の相続問題もある。戦後、膨大な資産は国へ移されたが、その後の各国王室等からの贈り物だけでも相当な額に評価されるという。そういえば「陵墓」を明治以来、国が管理しているのも分からないことだ。外国と違い、あまりにも多数で広大だ。文化財としての保護は別に考えるべきである。墓地は各家々で守るのが基本ではないだろうか。
 (工藤宜編集委員)
 
 
 
 
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