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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/04/07 朝日新聞朝刊
根づいた象徴天皇制「天皇・皇室観」朝日新聞社世論調査詳報
 
 今年4月29日に満85歳、12月25日にご在位満60年を迎えられる天皇陛下。その記念式典が、政府主催で天皇誕生日に開かれる。また、皇太子ご夫妻が韓国を訪問される話も進んでいる。何かとこのところ、話題の多い天皇や皇室が、国民の目にどう映っているのだろうか。朝日新聞社は、3月12、13の両日に行った全国世論調査で、皇室への親しみ、天皇観と天皇制のほか、ご在位記念式典、皇太子ご夫妻の韓国訪問、記念の10万円金貨について、国民の天皇・皇室観を聞いた。ここに、その詳報をお届けする。
 (本文中に問1、問2・・・とあるのは、「質問と回答」欄の当該質問を示す)
◆質問と回答
 (回答の数字は%。0とあるのは、小数点以下四捨五入で1%にならなかったもの)
 
〈問1〉あなたは、今の皇室に親しみを持っていますか。持っていませんか。
持っている 51
持っていない 37
その他・答えない 12
 
〈問2〉(問1で「持っている」と答えた51%の人に聞いた)親しみを持っているのは、どうしてですか。(回答カードから1つ選択)
伝統を守っている 13
国民にとけこんでいる 11
家庭的な雰囲気 7
品位がある 6
なんとなく 6
いばらない 3
政治的に中立 2
あこがれを感じさせる 1
その他・答えない 2
 
〈問3〉(問1で「持っていない」と答えた37%の人に聞いた)親しみを持っていないのは、どうしてですか。(回答カードから1つ選択)
特権階級である 7
なんとなく 7
閉鎖的で堅苦しい 6
国民にとけこんでいない 6
皇室は必要ない 5
個性が感じられない 2
戦争を思い出す 2
警備が厳しすぎる 1
政治的に利用される 1
その他・答えない 0
 
〈問4〉あなたは、今の天皇に対して、どんな気持ちをお持ちですか。(回答カードから1つ選択)
何も感じない 40
尊敬 33
親しみ 22
反感 2
その他・答えない 3
 
〈問5〉天皇制について、どうお考えですか。(回答カードから1つ選択)
天皇は今と同じ象徴でよい 84
天皇制は廃止する方がよい 9
天皇の権威を今より高める方がよい 4
その他・答えない 3
 
〈問6〉政府は4月29日の天皇誕生日に、ご在位60年を記念する式典を行います。あなたは、このことをどう思いますか。(回答カードから1つ選択)
おめでたいことなので、政府の式典は当然だ 41
おめでたいことだが、政府の式典は必要ない 27
自分には関係ない 21
戦時中のことを思うと、好ましくない 6
その他・答えない 5
 
〈問7〉ご在位60年を記念する10万円金貨が発行されたら、あなたは、この金貨を買いたいと思いますか。そうは思いませんか。
買いたい 17
そうは思わない 78
その他・答えない 5
 
〈問8〉韓国の大統領がおととし、日本を訪れました。今度は、皇太子ご夫妻が天皇のご名代として、今年の秋にも韓国を訪問される話が出ています。あなたは、このご訪問は良いことだと思いますか。そうは思いませんか。
良いことだ 74
そうは思わない 11
その他・答えない 15
◆調査の方法
 全国約8600万人の有権者から3000人の回答者を選び、3月12、13の両日、学生調査員が個別に面接して行った。回答者の選び方は層化無作為2段抽出法で、まず全国の投票区を都道府県、都市規模、産業率によって341層に分け、各層から1投票区を無作為に抽出して調査地点とした。さらに、その投票区の選挙人名簿から、平均9人の回答者を無作為に選んだ。
 有効回答者数は2369人。有効回答率は79%。回答者の内訳は男性46%、女性54%。20−24歳8%、25−29歳8%、30−34歳10%、35−39歳14%、40代22%、50代18%、60歳以上20%だった。
●皇室への親しみ 年長者ほど親近感 若者に多い閉鎖的印象
 今の皇室に親しみを持っている人は、51%と半数を超え、親しみを持っていない人の37%をかなり上回った(問1)。同じ質問だった57年12月の本社調査では、41%対46%と、親しみを持っていない人が多かっただけに、この3年余の間に、国民の皇室観がかなり変化したことがうかがえる。
 親近感の度合いは、世代差ではっきり読みとれる。30代後半を境に、年長の世代ほど親しみが増し、若い世代ほど薄れる内容で、親しみを持っている4人のうち3人は、40歳以上が占める。
 前回57年12月の本社調査と比較すると、40代と30代後半の世代で、親近感の強まりが目につく。前回の40代は「持っている」39%、「持っていない」44%、30代後半は「持っている」32%、「持っていない」55%。それが今回は、40代は約5対3の比率で「持っている」が上回り、30代後半も4対4で並んだ。
 最も親しみの薄い20代前半も、「持っている」が前回の11%から倍増している。といっても、「持っていない」はその3倍強の70%。
 次に、親しみを持っている人、いない人のそれぞれの理由を、選択肢から選んでもらい、皇室についてのイメージを探った。
 まず親しみを持つ理由(問2)は、「伝統を守っている」13%、「国民にとけこんでいる」11%の2つが、1割を超えた。男性は「伝統を守っている」が最も多く15%、5、60代の男性は2割以上。ところが、女性は「国民にとけこんでいる」(12%)「家庭的な雰囲気」(9%)などが男性より高め。数は少ないが、「あこがれを感じさせる」では、選んだ人の8割が女性だった。
 一方、親しみを持たない理由(問3)は、全体ではどの答えも1割に満たず、大差がなかった。しかし、親しみを「持っていない」と答えた人の6割を占める2、30代に絞ると、「閉鎖的で堅苦しい」「特権階級である」「国民にとけこんでいない」などが1割を超え、かなりはっきりする。20代前半の若者は、「閉鎖的・・・」という答えが2割で、抵抗感がひときわ強いようだ。
●天皇観と象徴制 若い人は無関心 現行制度は8割が肯定
 国民が天皇に抱く気持ちは、「尊敬」や「親しみ」を持つ人が合わせて55%の過半数を占めた一方、「何も感じない」無関心な人も40%に上った(問4)。しかし、現行の象徴天皇制については、84%という圧倒的多数が肯定している(問5)。
 2つの質問とも、カードに示した選択肢から回答を選んでもらったが、天皇への気持ちでは世代差が際立っている。旧憲法下に生まれた40代以上は、「尊敬」や「親しみ」を持つ人が多く、50歳以上では合わせて7割を超える。しかし、今の憲法下に育った30代後半で、無関心派と尊敬・親しみ派が伯仲しているが、この世代を境に高年齢層と反比例するように、若い年代ほど無関心が多数派となる。20代の約7割は「何も感じない」。
 天皇制については、本社はこれまで3度、同じ質問で調査をしているが、いずれの結果も「天皇は今と同じ象徴でよい」とする人が82―84%で、今回も変わりがなかった。男女差も認められないが、20代が他の年代より低めなのが目立つ。しかし、天皇個人には「何も感じない」人が多いこの年代ですら、77%が象徴天皇制を支持していることは、現行の象徴制が既に国民の間にしっかりと定着し切っていることを、改めて浮き彫りにした格好だ。
●ご在位記念式典 「当然」は4割、世代差めだつ
 4月29日の天皇誕生日に、ご在位60年記念式典が政府の主催で開かれる。そこで、このことを国民がどう思っているか、を聞いたところ(問6)、「おめでたいことなので、政府の式典は当然だ」は41%だった。しかし、「おめでたいことだが、政府の式典は必要ない」が27%。「戦時中のことを思うと、好ましくない」はわずか6%だったが、「自分には関係ない」が21%あった。
 この質問では、回答カードに示した前述の4項目の中から、選んでもらったが、この答えにも世代差に特徴が見られた。50歳以上の5割が「式典は当然」と思っているのと対照的に、戦後生まれの2、30代では「式典は必要ない」が最多で、3人に1人の割合で挙げた。また、20代では、3割が「自分には関係ない」と答えた。
 支持政党別でみると、例えば自民支持層では「式典は当然」が49%を占めたが、「式典は必要ない」も4人に1人。社会支持層は必要派31%、不必要派34%と、意見が二分した。なお、共産支持層には「戦時中のことを思うと、好ましくない」が23%と目立った。
●韓国ご訪問 年齢問わず7割が賛成
 韓国の国家元首として初めて、全斗煥大統領夫妻が訪日したのは一昨年9月。この答礼の意味も含め、天皇のご名代として、皇太子ご夫妻の韓国訪問が注目されていたが、調査前日の3月11日に「10月の実現に向けて、両国が公式協議に入る」と、外務省から発表された。
 このご訪韓について聞いたところ、74%が「良いことだ」と賛成、「そうは思わない」という批判、疑問は11%だった(問8)。この賛成の比率は、全大統領訪日直後の本社調査で、「大統領訪日は良かった」と評価する69%や、過去の日韓関係に言及して天皇が遺憾の意を表明されたことについて、75%の「良かった」という受け止め方と、ほぼ同じ水準となっている。
 ご訪韓に対する賛成は世代差があまりなく、2、30代の戦後世代で76%、40代以上で73%。男女差もほとんどみられない。
 支持政党別では、共産支持層でほぼ6割、他党支持層では7―8割が賛成。また、天皇制について「天皇の権威を今より高める」とか「今と同じ象徴でよい」という人で8割、「廃止する方がよい」という人でも5割と、意見の違いにかかわらず、賛成派が多数を占めている。
●10万円金貨 大半が「買う気なし」
 天皇の在位60年を記念する10万円金貨がこの秋、発行される。戦後初めての金貨で、わが国で金貨を発行するのは昭和7年の20円金貨以来。この金貨を「買いたいと思う」人は17%と少なく、「そうは思わない」はその4.6倍の78%だった(問7)。10万円といえば、ちょっとした金額だけに、若年層や家計を預かる女性には、気軽に購入するわけにはいかないようだ。
 金貨を「買いたいと思う」人は、女性に比べて男性、若年層より高齢者層が多い。特に、60歳以上の男性が27%と、とび抜けて高いのが目立つ。また、中曽根内閣や自民党の支持層に、「買いたい」が多いのは、当然といえば当然か。
 これに対して、「そうは思わない」と答えた人で目立ったのは、20代前半の女性で、どの年齢や職業別などの階層と比べても、91%と最高だった。また、「天皇制は廃止する方がよい」と答えた人の89%は「そうは思わない」派が占めた。
 
 
 
 
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