1. 本艇の主要目
(1)船名 [仮称]あかとんぼ
(2)定員 [乗務員]1名 [その他の定員]6名 [総トン数]約5トン
(3)船質 [軽畳FRP船]
(4)主要寸法 [長さ]9.3m(全長) [全幅]6.0m [艇幅]1.4m [深さ]1.2m
(5)航路 [平水航路]
(6)重量 [全装備重量]1600kg [艇重量]880kg [船外機重量]270kg
(7)計画速力 [30ノット]
(8)駆動機関 [船外機]1機搭載 4サイクル 225PS/5500RPM
(9)翼面積 [31.28m2] [翼面積荷量]21.2kg/m2
(10)巡航速力時の浮力 [35ノット時における発生浮力]670kg
★艇の見掛け重量が減少するが、艇が水面より浮上することはない。
(1)臨時航行認可証の取得 平成16年 3月10日 取得
(2)先行習熟運転
(1)実施日時 平成16年3月17日
[実施場所] 元宇品 広島ヤンマー商事施設内
<陸上でのチェック項目>
(1)船外機関係
[無負荷運転]1,000RPM⇒ 異常なし
[前後進作動確認]⇒ 異常なし[操舵作動確認(電気系統含む)]⇒ 異常なし
(2)船体関係
[船体外形]翼取り付け(前方翼、後方翼の左右)傷や凹み⇒ 特に異常なし
[船内艤装]乗降口スライドハッチ⇒ 左右に少し間隙有り、走行中の確認が必要
後部ハッチ⇒ 開閉、密閉性異常なし 座席の位置⇒ 特に問題なし
(3)法定備品関係
[救命胴衣]定員7名 現品異常なし
<進水時のチェック項目>
(1)桟橋への繋留
[繋留の簡便さ、安定性]⇒ コの字型専用浮き桟橋が必要
[船体の浮き姿勢]⇒ 良好
(2)繋留運転
[船外機関係]⇒作動良好 [操縦関係]⇒ 作動良好
[船体関係]⇒ 漏水無しその他良好
(1)発艇前安全点検
(1)救命胴衣を着用して出入口及び脱出口の出入り確認。[結果]⇒ 良好
(2)傾斜角度確認試験
(1)客室内の人員移動による艇の横の傾斜角度を測定。
[結果]⇒ 6人片舷に移動(50/1145)約2.5度傾斜で殆ど傾斜を体感せず
(3)暖機運転
(1)繋留状態で機関、操縦装置のチェックを兼ねて暖機運転をする。[結果]⇒ 良好
(1)速力測定はGPS速力計測器 形式 FEG-680形を使用(メーカー扶桑)
(1)実施日時 平成16年3月17日 午後
[実施場所] 元宇品〜海田湾 ○走行試験→ 乗員6人
[天候]晴れ [風速]8m〜10m[波浪]30cm〜40cm[気温]18℃
(2)実施日時 平成16年3月18日 午前中
[実施場所] 元宇品〜海田湾
[天候]晴れ [風速]5m〜7m
[波浪]20cm〜30cm [気温]12℃
[プロペラ−1]D:14 P:19 |
分力 |
機関回転数 |
船速 |
追風 |
向風 |
25% |
- |
- |
- |
50% |
4,200RPM |
23.4 |
23.6 |
75% |
5,000RPM |
31.4 |
35.7 |
100% |
5,500RPM |
42.0 |
38.1 |
MAX |
6,000RPM |
43.2 |
43.7 |
|
(2)実施日時 平成16年3月18日 午後
[実施場所] 元宇品〜海田湾
[天候]晴れ [風速]3m〜4m
[波浪]20cm〜30cm [気温]14℃
[プロペラ−2]D:13 2/3 P:21 |
分力 |
機関回転数 |
船速 |
追風 |
向風 |
25% |
- |
- |
- |
50% |
4,200RPM |
23.4 |
22.8 |
75% |
5,000RPM |
33.5 |
34.6 |
100% |
5,500RPM |
38.4 |
38.9 |
MAX |
6,000RPM |
42.8 |
43.0 |
|
(2)速力測定結果
(1)プロペラ−1とプロペラ−2の比較では全領域において[プロペラ−1]D:14 P:19が最適マッチングと推定される。
(1)騒音(db)
無負荷 |
測定場所 |
船首側 |
中央 |
船尾側 |
600RPM |
55 |
63 |
68 |
6,200RPM |
83 |
90 |
98 |
|
走行中 |
測定場所 |
船首側 |
中央 |
船尾側 |
600RPM |
65 |
67 |
72 |
5,500RPM |
- |
95 |
- |
|
(1)騒音測定結果⇒何れも船内で通常の会話が出来る範囲で、特に問題なし。
(2)振動
(1)振動測定結果⇒何れも船内で体感振動を感じることも無く、特に問題なし。
(1)旋回性能
項目 |
左旋回 |
右旋回 |
出力状況 |
2,200RPM |
2,200RPM |
舵角 |
35° |
35° |
回頭時間 |
発令→5° |
1.6秒 |
3.1秒 |
発令→90° |
8.1秒 |
10.0秒 |
発令→180° |
19.8秒 |
19.9秒 |
発令→360° |
34.0秒 |
34.0秒 |
最大旋回圏 |
25m |
20m |
最大縦距 |
20m |
25m |
|
(1)微速時1,000rpmでの操舵性(反応)は思わしくないが、1,400rpm位から操舵性は走行に差し障りは無く舵の座りも問題なし。
(1)前進試験結果
(1)中立(400RPM)⇒100%(5,500RPM)所要時間 約10秒
(2)後進試験結果
(1)5,500RPMから減速〜無負荷(中立)迄の所要時間 約 8(GPS測定で4.5kt以下)
(2)後進しだす迄の所要時間 約15秒
(3)船外機取付場所からの噴水は殆ど認められなかった。
(1)姿勢制御結果
(1)姿勢の制御を随伴支援船より走行中の姿勢、船側の水飛末(スプレー)等を確認したが、何れも問題なく良好であった。
[静止状態]非常に安定している。風の影響も余り受けていない感じがする。
[低速走行]1,400rpm(25%負荷)では前翼先端が波を被る。
2,800rpmに成れば波の影響を受けず前翼先端は波を切らない。
ピッチング、ローリング共に体感は無く走行する。
[高速走行]30ノットを超えた頃から船体が浮上したことを体感する。
ピッチングは客席で余り感じることも無く安定した姿勢で走行する。
ローリングは殆ど感じない。
[船体の浮上]前翼の翼端板下部からか約30cm海面から浮上
後翼の翼端板下部からか約15cm海面から浮上
(2)ビデオ及び写真撮影したものと水槽実験の映像と比較検討を行う★別紙添付資料
(3)その他 本船の走行時に出来る引き波は、船底に接する面積及び船底形状により、非常に小さく殆ど目立つ航跡が残らない状態であり、湖水地方に於ける漁船等に与える影響が少ないと思われ好結果であった。
(1)翼の強度
(1)前翼前方先端部が一部が亀裂損傷発生
[推定原因]低速走行(1,400RPM)では船首でおこす波と波浪で前翼へ波が被る。
[対策]翼の強度対策と取付位置を80mm位上げる必要あり。
[検討結果]翼の強度、取付位置を80mm上げて改善する。
(2)後方翼の後部端面に亀裂剥離発生
[推定原因]高速走行時、後部後縁部がフラッピング状態になる。
[検討結果]後部端面(巾100mm×長さ2,000mm)をカットし、強度も改善する。
(2)乗降口スライドハッチ
(1)走行中に乗降口スライド式ハッチが開いてしまう。又機密性が悪く雨が降ると漏水する。
[検討結果]留め金(クレセント鍵)変更。樋を改善し水はけを良くする。
(3)燃料メーター(ゲージ)
(1)走行時パンチング(波の影響)で、FOメーターが作動不良となる。
[検討結果]パンチングの影響を受けないものに改良する。
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