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参考資料1
不定期航路事業を中心とした木造船活用事業にかかわる損益分岐点分析
 ここでは、本事業で建造される木造船を活用した、地域振興事業にかかわる事業性についての検討をおこなう。
 なお、ここでの検討は、木造船建造後の活用事業について、事業のあり方を検討していくための資料を作成しているものであり、今後、ここでの分析をふまえて、事業実施方法についてのより詳細な検討をすすめていくこととなる。
 なお、本検討に関しては、「実施検討協議会」での検討事項とはなっていない。
 
1. 不定期航路事業を中心とした事業実施にかかわる固定費の検討
 木造船の維持等に係わる年間の固定経費としては、下表のとおり約269万円を想定する。
 
表 木造船の維持等に係わる年間当たりの固定経費
項目 単位 数量 単価 金額 備考
船客障害賠償責任保険 9 30,000 270,000 旅客定員12名に対する障害保険
船舶検査手数料 一式 1 504,000 504,000 定期検査、中間検査に係わる年間換算
船舶保管倉庫賃貸料 .1 340,000 340,000  
ドック費 2 100,000 200,000 年2回、船艇の上架、船底掃除、船底塗装等
乗組員費 人日 275 5,000 1,375,000 1人×275日×5,000円
固定費計       2,689,000  
 
 各項目の考え方は、以下のとおりである。
(1)船客障害賠償責任保険:不定期航路事業実施期間(3月〜11月)の9ヶ月間、旅客定員12名に対する、障害賠償責任保険料
(2)船舶検査手数料:定期検査、中間検査に係わる手数料一式
(3)船舶保管倉庫賃貸料:荒天時等における船舶の一時保管に要する倉庫の賃貸料
(4)ドック費:船底の掃除、船底の塗装等に関する費用、年2回
(5)乗務員費:不定期航路事業実施期間の9ヶ月間における船長会の船長に対する手当
□先述の想定から、不定期航路事業の運航可能日数を250日と想定。
□旅客定員12名であることから、1日1回運航で250日満席で運航した場合、3,000席が売り出されることになる。
□以上より、旅客1名あたりの固定費は、2,689,000円÷3,000席=約896円
 
2. 不定期航路事業等実施にかかわる変動費の検討
 不定期航路事業等実施において、変動費として検討されるものは、1日運航あたりの燃料費である。燃料費としては、1日の運航あたり5,000円と想定する(想定されるいずれのルートも共通としている)。
 また、伊勢市内の小中学校等の総合学習や環境学習での活用、また、市民向けの障害学習での活用なども検討されているが、いずれの場合も、1回の利用あたりの燃料費は5,000円として想定する。
 運航1回あたり5,000円の燃料費がかかり、定員12名であることから、旅客1名あたりの変動費は、5,000円÷12名=約417円となる。
 
3. 旅客運賃の想定
 以上の検討結果から、旅客1名あたりの最低必要経費は、896円+417円=1,313円と想定される。
 このため、旅客運賃を1,400円と想定し、必要最低旅客量の想定をおこなう。
 
4. 損益分岐分析
 先述の「1.」〜「3.」までの検討結果をふまえて、1回あたりの旅客数が、(1)4人、(2)8人、(3)12人(満席)の3つのケースに分けて、損益分岐点分析をおこなう。
 なお、前提条件は、以下のとおりである。
 
運賃:1,400円(1人あたり)
固定費(年):2,689,000円
1運航あたり燃料費:5,000円
x:運航回数
 
ケース1:運航1回あたりの旅客数が4人
ケース1では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×4人)× x =5千円× x +2,689千円
x=約4,482回
旅客数=4人×4,482回=17,928人
1日あたり平均運航回数=4,482回÷250日=18回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×4人×4,482回=25,099千円
 
ケース2:運航1回あたりの旅客数が8人
ケース2では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×8人)× x =5千円× x +2,689千円
x=約434回
旅客数=8人×434回=3,472人
1日あたり平均運航回数=434回÷250日=1.7回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×8人×434回=4,861千円
 
ケース3:運航1回あたりの旅客数が12人
ケース2では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×12人)× x =5千円× x +2,689千円
x=約228回
旅客数=12人×228回=2,736人
1日あたり平均運航回数=228回÷250日=0.9回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×12人×228回=3,830千円
 
5. その他事業との組合せによる事業収支計画
 木造船運航事業では、不定期航路事業とともに収入を得る手段として、(1)プレジャーボート管理事業を実施すると同時に、地域負担金として河崎、二軒茶屋、神社、大湊の各地区からの(2)地域負担金収入を検討している。
(1)プレジャーボート管理事業
 プレジャーボート管理事業では、河崎および二軒茶屋の係留施設においてプレジャーボートの保管事業を検討している。
 管理・保管のための想定料金、および各地区における想定保管隻数は以下のとおりである。
[管理料]
保管料:20,000円/隻月、清掃料:10,000円/隻月
[想定隻数]
河崎係留所:3隻、二軒茶屋係留所:1隻
以上の条件にもとづき、下表のとおり年間1,440,000円の事業収入を見込んでいる。
 
  保管隻数 管理料金
(円/月隻)
管理料金 年間事業収入
保管料 清掃料
河崎係留所 3 20,000 10,000 90,000 1,080,000
二軒茶屋係留所 1 20,000 10,000 30,000 360,000
事業計 4     120,000 1,440,000
 
(2)地域負担金収入
 木造船は、河崎、二軒茶屋、神社、大湊の各地区のシンボル船として活用がはかられるものであり、この維持にあたっては、各地区から一部負担を想定している。各地区ごとの負担金としては、20,000円/月を想定しており、年間の負担金収入としては、960,000円を見込んでいる。
 
地域名 負担金(円/月) 年間換算
河崎 20,000 240,000
二軒茶屋 20,000 240,000
神社 20,000 240,000
大湊 20,000 240,000
合計 80,000 960,000
 
(3)固定的な事業収入
 以上の(1)および(2)から本事業において毎年固定的に見込まれる収入として、2,400,000円が想定される。
 以下では、この事業収入を見込み、先の不定期航路事業の損益分岐分析をおこなう。







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