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2-2 まちづくり活動・構想の中における木造船建造・運航事業の位置づけ
2-2-1 まちづくり活動・構想における木造船建造・運航事業の位置づけ
 
 伊勢市における各種関連計画、および整備構想等と木造船建造・運航事業の関係を整理すると下図のとおりである。
 「伊勢市観光振興基本計画21」、「伊勢志摩空間快適性向上整備計画(駅前・外宮前地区、河崎問屋街地区)」、「伊勢市景観マスタープラン」の各計画の具体化に向け、「宇治山田港交流拠点整備構想」及び「海の駅・川の駅整備構想」の両構想が策定されている。
 この両構想を結びつけ、人的、ソフト的な側面および線的なつながりから面的な拡がりをはかっていくのが「木造船建造・技術伝承事業」として位置づけられる。
 このため「木造船建造・技術伝承事業」では、調査設計・技術伝承チーム、管理運営チーム、記録・情報発信チームの3チームに分かれて事業が推進されることとなる。
 
図 まちづくり活動・構想における木造船建造・運航事乗の位置づけイメージ
 
 
 近年、他地域において、木造和船の造船や河川舟運、水上交通などの活動が活発におこなわれている。
 木造和船の建造事例としては、長崎県松浦市での活動の事例があげられる。また、水上交通事業の展開事例としては、東京都江東区の「和船友の会」を中心にした活動や京都市における十石船の復元・運航事業などがあげられる。
 
[参考]木造和船の建造事例
1. 長崎県松浦市での建造(2002年進水)
(1)建造の経緯
 松浦商工会議所が観光事業などに活用しようと、日本財団などの補助を受け3隻を地元の造船所に発注。
(2)建造方法
 受注した造船所は、強化プラスチックの船が専門であり、和船建造は45年ぶりであったが、職人の記憶にもとづき長さ8メートル、幅2メートルの和船を建造。
 
 
 
 
2. 京都市における十石船の復元・運航(2003年進水)
(1)建造の経緯
 京都商工会議所が日本財団の助成を受けて2隻建造(約800万円)。
(2)運航体制
 現在、京都市のTMO(Town Management Organization)である、(株)伏見夢工房が運航している。
(3)京都市におけるTMOの役割
 一般的にTMOに求められる機能は、次の4つです。(1)まちづくりのための総合調整/(2)まちづくり事業の企画立案/(3)各事業の推進/(4)まち全体の運営管理
 京都市(伏見地区)中心市街地活性化基本計画においては、TMOのあり方として「企画調整」だけでなく、自らも主体となって、自立的かつ柔軟に事業を展開することが求められている。
 このため、まちづくりのコントロールを行う企画調整機能を主体に、TMOの経営に大きな負担がかからない範囲で事業を推進しており、十石船の運航も、この一環となっている。







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