日本財団 図書館


<ムラサキイガイの水槽飼育実験結果報告>
東京海洋大学海洋学部 石井晴人
 
 平成15年11月1日より約1ヶ月間、東京湾アクアライン風の塔岸壁にて採集したムラサキイガイを飼育し、その生残率を測定した。
 ムラサキイガイは採集後、車によって運搬され、飼育実験は東京海洋大学2号館生態学研究室内のアクアトロンで行った。
 35l水槽を2個用意し、それぞれに1-μm濾過海水を30l入れて行った、飼育は閉鎖循環型の水槽で行った、海水濾過材として人工ゼオライトと活性炭をそれぞれの水槽で用いた、ムラサキイガイの初期個体数は、ゼオライト水槽56固体、活性炭素水槽54固体であった、実験期間中水温は22℃、塩分は35PSUに保たれた、飼育中の餌として、培養したケイ藻(Skeletonema costatum)を用い、毎日十分量与えた、残餌や糞は適宜取り出し、海水交換は1日最低1回は行った。
 ムラサキイガイの生存率の変化を下図に示す。
 実験開始1日後でゼオライト水槽、活性炭水槽で、それぞれ3、1固体の死亡が確認された、これは初期死亡と思われる、両水槽とも海水は非常に白濁しており、環境変化刺激によるムラサキイガイの放精があった可能性が考えられた、その後活性炭水槽では死亡固体は確認されなかったが、ゼオライト水槽では累計6固体の死亡が確認された、死亡固体の殻長は、両水槽とも2.5〜3.0cmの範囲にあった、ゼオライト水槽内には常に崩れたゼオライト粒子が浮遊しており、これがムラサキイガイの生存率や活性の低下につながったのではないかと推測された。
 
ムラサキイガイの水槽飼育結果
 
1. ゼオライトとは
 18世紀にアイスランドでスウェーデンの学者によって発見されたのが、「天然ゼオライト」です。ゼオライトは水晶のような結晶で、主にアルミニウムとケイ素からなっています。結晶はたいへん小さく、目でその形や大きさを見ることはできません。拡大して見ると、スポンジのように小さな孔がたくさんあることが確認できます。この独自の構造を持つゼオライトは、今まで自然界に40種類以上発見されています。
 吸着機能に代表されるゼオライトの特徴をさらに活かすため、化学の知識・技術を駆使して人間が作り出したのが「合成ゼオライト」です。工業的につくられた「合成ゼオライト」は、能力が高く「天然ゼオライト」にはない種類のものが多数ありますが、欠点は高コストであることです。
 第3のゼオライトとして登場したのが「人工ゼオライト」です。「石炭灰」などのゴミと考えられていた物質を処理することで、地球と人類に有益な「ゼオライト」に変える。しかも低コストであるため、現在、大きな注目を集めています。
 
項目 活性炭 合成ゼオラオト 天然ゼオライト 人工ゼオライト フライアッシュ(参考)
粒子形状 不定形 球状・円柱 不定形 球状・他 球状・他
粒子径(μm) 原料による 0.1〜 (粉砕必要) 5〜100 1〜200
細孔径(A) 20〜800 3〜(造分け可能) 6〜8 5〜100  
比表面積(m2/gr) 500〜 400〜 20〜35 100〜150 0.2〜0.5
CEC(meq/100gr) 400〜600 50〜170 180〜400 ほとんど無い
極性  
溶出pH 中性 コントロール可能 6〜8 5〜11 アルカリ(8〜11)
吸湿能力(%) 種類による 50 20〜40 20〜50 小さい
吸油能力 種類による 1〜2倍 0.5〜0.7倍 1.3〜1.5倍 小さい
 
2. 人工ゼオライトの製造方法
 現在、有効利用されている石炭灰のうち、50%以上がセメント分野での利用です。セメント原料の一つの粘土の代替物として用いるなど混和材として使用されています。しかし、石炭灰の発生量は年々増加しており、大量の石炭灰を活用する新たな有効利用技術の開発が急務です。
 こうしたニーズの中で誕生したのが、石炭灰を人工ゼオライトに転換するという新技術です。石炭灰は、石炭に含まれていた無機質成分が燃焼後に酸化物として残ったものからなっています。この無水物である石炭灰をアルカリで処理することで、ゼオライトとして結晶化させることに成功したのです。
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION