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解剖学への招待 ?私と献体 解剖学習を終えて?

 事業名 篤志献体の普及啓発
 団体名 日本篤志献体協会 注目度注目度5


全力投球人生
東京医科大学東寿会 南 武久
 
 最近、墓を造らない人が増えてると言う。私は、中間派である。私は現在62歳であるが、還暦を過ぎた頃から、生れて初めて死を現実のものとして、意識するようになった。今までに大きな病気をした事もなく、小学校入学以来、国家公務員を定年退職し、次の日から第二の人生を歩んでいるが、1日も休んでいない。死を意識するとは、具体的には、第一に墓を準備した。墓と言っても、伝統的な墓ではなくて、大理石のテーブルに、4個の大理石の椅子を備えたものが私達夫婦の墓である。
 THERE IS A WILL, THERE IS A WAY. と言った私の好きな言葉を残そうとも相談したが激論の末「南武久(一九四〇〜)・千賀子(一九四八〜)ここに眠る」とシンプルな言葉をテーブルの上に刻んだ。子供達や友人には「僕らと一緒に眠りたいなら君の灰を撒いてもいいよ。テーブルの上の好きな位置に好きな言葉を書いてもいいよ」とも言っている。6人兄弟姉妹の4男として生れたので苦労して死場所を買い、そこで今はビールを飲んでいる。墓地を買おうとも考えたが、苦労して買った土地には愛着があり、500坪の庭の一角に竜宮としての大理石のテーブルを置いた。私は死ぬ瞬間まで、ここでビールを飲みたいと考えています。死の準備の第二は、家内に遺言を残すことである。「私の財産の全ては、家内の千賀子に遺す」と言うものである。私にとっては波乱万丈の人生だったが、世界的視点に立てば、平凡な人生である。平凡に生きることは、実は大変なのである。角栄氏の孫雄一郎君も私達貧乏人から見ればうらやましい限りだが、本人にしてみれば、七転八倒の人生なんでしょう? 弁護士と何から何まで相談して人生を送るのも情けない話です。全力投球して考え、考え抜いてこそ人生ではないでしょうか? 努力もしないで都心の一等地にしがみつくのが政治家のわがまま人生です。全力投球する者が報われる社会は日本には来ないのでしょうか?
 死の準備の第二は、家内に遺言を書き、然るべき人に預けて置くことである。波乱万丈の人生だったが、世界的視点に立てば、平凡な人生である。平凡に生きることは、極めて大変なことなのです。今後はアルツハイマー病にかかることなく、平凡に人生の終幕を迎えたい。死の瞬間まで人生に全力投球したい。全力投球することが自分の為、家族の為、社会の為、国家世界の為になると考えます。平凡に生れ、平凡のまま生涯現役として死にたいのである。自然や神に逆らうことなく無理をしないで感謝を忘れない全力投球人生でありたい。願わくば、私の亡き骸を、東京医大の学生の教材として、活用していただければ、生前は全力投球人生で貢献し、死後は崇高な仕事に就れる医学生のお役に立てて至福の極みです。
 
弘前大学白菊会 村田 勝義
 
 三年前、文友の生前葬に招かれて八戸のホテルに行った。挨拶をといわれて、
 「―ご馳走を食べ、お酒を飲んでいるうちにすっかりいい気分になり、○○さんの生前葬にきたのに、結婚式にきたような気分になりました」
 会場は笑声に包まれた。盛会であった。当人の人柄のせいであろう。
 ○○さんは二十年前に献体の登録していて、最近のふだん記『津軽』に、「献体の意義・正しく知ってほしい」の作文を載せている。
 
 かつて自彊術体操に通っていたことがある。なにかの会合で隣あわせたA子さんから、夫婦そろって白菊会々員であることを聞いた。理由は忘れたが、「弘前の行事に参加していますか」と訊くと、「夫がいいことをしている事を、見せびらかしているようで嫌だというので行っていない」と言う。
 自意識過剰じゃないかと思うが、人さまざまである。前述の○○さんは不自由な身で遠くから十八回も参加されている。
 老生が初めて参加したとき、顔見知りの医師夫婦を見かけたが、見て見ぬ振りをして近寄らなかった。
 A子さんの旦那さんに似た気持からである。
 徒歩で五分ほどの近くに、親しい友人がいた。二人は謡曲、尺八、囲碁の趣味が同じで同じ団体に所属していたので、週一回拙宅に来てもらい練習をしていた。といっても遊びである。楽しかった。その友人が二年前の八月に亡くなっている。七十歳、老生より七歳年下である。その友人の次女に持病があって、当人は以前から献体の登録をされていた。若い女性の登録はまれなので、大学側から「年号の昭和は大正の間違いじゃないですか」と問合せがあったそうである。清純なしとやかな娘さんである。その娘さんにならって友人夫婦も献体登録をされたそうで友人は既に献体を終えている。
 先日、バス停で奥さんに会うと、「離れて勤めている娘と交信するために、弁当持参でワープロを習いに行っています」と笑っていた。いまでは大分上達なさったことであろう。賢明な方である。
 
 さて終りはわがことである。家内が亡くなって六年、この九月で七十九歳になる。幸い三人いる子どもはみな凡庸であるが近くに住んでいるので、嫁、長女、が一人暮らしのわが家に来ては家事をこなしてくれている。なんの不自由もなくまたストレスもない。戦前戦中を経験した者にはいまが至福のときである。だが人生総てがうまくゆくものでない。佳境に入ったと思ったら足腰不自由な老境に入っている。
 老生の成願成就も、遠くではなさそうである。
 
入会の動機と家族の理解
京大白菊会 村山 邦夫
 
 丁度十年前、長年勤めてきた民間会社を定年退職して向後の人生を考えたとき、初めて死生観に直面する様になりました。
 その時は漠然と「何か世の中にお役に立つことはあるだろうか」と言う程度のことで具体的に「献体」ということには、知識も無く行動に結びつきませんでした。
 その後、産経新聞社の企画主催で「人体の不思議展」という「プラスティネイション」技術による人体実物解剖展示が行われ、これを夫婦で見学に参りました。
 初めて目にする人体の見事な構造に圧倒され今までの医療や病気に関する考え方が大いに改まったように思いました。
 そして何よりもこの貴重なモデルの方々があの誇り高いゲルマン民族のキリスト教徒のドイツ人で、生前にモデルになることを理解し了承されて、医学発展のために人体を提供されたとの説明に、感動を覚えました。
 その後毎月診察を願っている担当の医師に献体のことをお尋ねしたところ、「白菊会」を教えて頂きました。入会の手続きのなかで最も苦労しましたのは、家族に理解了承を得ることでした。献体についての世間の風評による既成概念と仏式葬儀の納棺、通夜お別れと称する儀式を慣例通り、やらないと親戚やご近所など周辺にたいする、示しのようなものがつかない、とするものでありました。
 最終的には「本人が希望することだから」ということで承知をさせたものの、実行段階では本人の意向が無視される懸念も無きにしもあらずというところです。
 それにしても今日の様な現代社会におきましても、献体取り扱いに関する間違った風評はマスコミなどを通して、繰り返し解説や説明をすることが大切と思いました。ことの性格上方法的には難しい問題があるとは思いますが、インターネット、ホームページなどで具体的に説明することが出来ると思います。
 また、現在の献体による解剖実習は人体の構造習得が主目的のようですが、病理解剖的なものには役立たないのでしょうか。
 と申しますのは私の場合、十年以上に及ぶ通院や医療の記録、例えば血液検査の結果や体重、体脂肪の記録などを保存しています。こういったものを、献体と同時に提供することで学習に役立つのであれば、これからもっと詳しい記録も残していきたいと思うのです。例えば、生活習慣や、食べ物の好み、運動の状況、長期に服用した薬の名称と量など、医学に繋がる何らかのデータがお役に立つなら喜んで記録するものです。
 この十年、医学の進歩とりわけ電子工学との融合による新しい治療の開発や、再生医療の進歩など目を見張るものがあります。
 人類の幸せの、基本的条件であります医学の更なる、ご発展を心からお祈り申し上げます。
 今年、古希を迎えましたが、今のところ不整脈と少々の物忘れ、運動性能の劣化、程度を自覚しておりますものの、献体の時期が迫っていることは間違いないことで、天命をまっとうして「ピンピンコロリ」したいのが念願です。
 
滋賀医科大学しゃくなげ会 八島 龍子
 
悪化せる夫を移せし病室は
帰らざる人の入るる室とや
 
無き知恵を絞り作りし半世紀
嗜好も変りて悩む献立
 
家と孫守り来たるに発言権なきとて媼なげきて帰る
 
北枕何時ならんかな今宵尚
佛出づる風呂に浸れり
 
はらからは喜寿に揃いて黄泉に逝き
われは傘寿で大根洗う
 
背伸し歩きいると思いきに
晴れし日の影丸く冩れる
 
嫁とりて「女将」と呼ばるる身となれば
お歯黒の顔われに重なる
 
畑に舞う蝶を賞でしも丹精の
青菜の裏に卵生みいる
 
新聞の折り込み広告分厚くも
老人年金財布は固し
 
苦の娑婆と教え賜り宿命の
ままに生きゆく心安けし
 
東京医科大学東寿会 山崎 淳
 
 本年も志を同じくする方々にお伴させて頂き、イタリアのミラノ、ローマ等主に北部中部の都市を中心に旅して参りました。特に各地は由緒ある歴史に輝くドゥオモ(大聖堂)や礼拝堂が多数あり宗派を越えて先輩浄願された方々の御霊に御一緒して深い祈りを捧げて参りました。そうして聖地遺跡建物を通じひしひしと神霊の降臨を覚え不信仰な我が身も浄化される思いでありました。
 私事ですが体調に一部不調があり旅行中先ゆきの不安で一杯でしたが先生を始め参加の皆様の御力添を頂き成田帰着は神のまにまに感激の至りでした。
 二十九日イタリアのアッシジではフランチェスコ教会で創始者フランチェスコの『小鳥を愛し』『花を愛し』『人々を愛し』の説法に共鳴し美しい中世の街にたたずみました。
 更に今回は「ミラノ」の『ブレラ』「フレンツェ」の『ウフィッツィ』ローマの『バチカン』各美術館で珠玉の名画を鑑賞し昨年日本のイタリア年の総仕上となり最高の大作の前で胸高鳴る思いでした。
 さてここで主題にかえりまして京都の大徳寺の高名のお坊さんの言葉を引用させて頂きます。一、少肉多齟、一、少煩多眠、一、少怒多笑、一、少言多行、一、少慾多施、一、少衣多浴、一、少車多歩の御托宣の実践を唱え、七十、八十は働きざかりそうして九十になってお迎があったら百まで待てと追いかえせ・・・不幸にして病になったらお医者さんとのコミュニケーションよくとって攝養これ努めよと・・・。
 又次はマスコミでもよくとりあげられていますが故佐藤前首相の三つのいましめ、一、骨折するな、一、風邪引くな、一、義理を欠け(年配者は無理して冠婚葬祭には出席する必要なし)以上二方の先覺者の言葉と合せて若い頃から聖書は私の伴侶です。
 以上は未だ若い方には通用しかねますが、年配者への警告と私は受けとめています。よく友人から『まだ生きているのか』と軽率な言葉をきくことがありますが、何くそと一転反発する気概を失ってはなりません。
 以上は小生の九十才への挑戦のつたない一文です。
 僅か十日間のイタリア旅行は例によって最高でした。いつの時も旅は精神的にも肉体的にも貴重な収穫を与えて頂きます。そうして重ねて生きる喜びは最高潮に達します。
 季節は愈々秋本番となります。すべからく戸外に出て自然の恵を受け悠久の天空を仰ぎましょう。







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更新日: 2022年12月3日

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