日本財団 図書館


第5回委員会
 日時:平成15年12月19日(金)
 議題:ノルウェー王国及び英国の調査報告
事故調査報告書に関する米国沿岸警備隊(USCG)からの回答
インシデント等の危険情報を共有化し、有効活用するために必要な環境整備の構築の検討
ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)
 主な審議内容:
(1)小西理事長から、ノルウェー王国及び英国における調査の報告が行われた。
(2)事故調査報告書に関する米国沿岸警備隊(USCG)からの回答が報告された。
(3)インシデント等の危険情報を共有化し、有効活用するために必要な環境整備の構築の問題として、海上インシデントにおける行政上の調査の現状、インシデント等の危険情報を各運航グループが相互提供し、共有化していくための課題・共有化されたインシデント等の危険情報の活用方策、インシデント等の危険情報の提供・一般公開を促進するために官民の役割、連携のあり方について、事務局から説明が行われ、意見交換が行われた。
(4)ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)について事務局からの説明に対し、意見交換が行われた。
 
第6回委員会
 日時:平成16年2月10日(火)
 議題:ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)
 主な審議内容:
 ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)について事務局からの説明に対し、意見交換が行われた。
 
第7回委員会
 日時:平成16年3月8日(月)
 議題:ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)
 主な審議内容:
 ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)について事務局からの説明に対し、意見交換が行われ、承認された。
 
(検討作業部会)
第1回検討作業部会
 日時:平成15年6月3日(火)
 演題:船舶操縦におけるヒューマンファクターと事故予防対策
 講演(講師 小林弘明委員(東京海洋大学 教授))
 論点:(1)安全運航の実現のためには、諸条件により決まる環境条件に対応できる運航能力が必要である。大事なことは、ヒューマンファクターを正しく把握することが船舶運航の安全性を議論する上で非常に重要なファクターになる。
(2)海難事故と再発防止対策について、ヒューマンエラーはどこで起きるのかをたどっていくと、エラーを起こしているのは、一般社会である。
 一般社会が起こしたエラーが原因でありながら、事故が起きたときには、現場が一番責められる。もっと背景要因の方が原因でありながら、結果として、エラーという形で事故原因を追及することがままあるのではないかと思われる。
 
 演題:海難調査に新しい概念を!!
 講演(講師 冨久尾義孝委員((株)日本海洋科学 社長))
 論点:(1)海難調査における新しい概念の第一は、個人懲戒主義からの脱却である。
(2)世の中の流れは、組織の責任を追及する方向に変わっている。組織責任を追及するためには、勧告の力によって組織や社会制度の矛盾を是正する考え方に飛躍的に変える必要がある。
(3)海難調査にはもっと国際的な統一基準をもって臨むべきである。
(4)現在の海難調査は、法的な問題に偏りがちであるが、今後は、シミュレーションを使った事故分析等を行い、技術論を展開する必要がある。
(5)今後の海難審判庁に望みたいことは、常に事故の背景に目を向け、それを生んだ社会矛盾を追及するという考え方をより強く持つことである。
 
第2回検討作業部会
 日時:平成15年6月27日(金)
 議題:漁船における安全対策のあり方
 演題1 漁船の現状について
 講演(講師 小坂智規委員((社)大日本水産会 常務理事))
 論点:(1)約25万2千人が漁業就業者である。なかでも、65才以上と40才から59才が非常に多い。水産界も後継者不足に悩んでいるのが現状である。
(2)1人、もしくは数人という少ない人数で漁船に乗っているのが現状で、自動操舵で走っていて、事故を起こすことが多い。
 漁船海難のほとんどが見張り不十分である。見張りはしていません。ぶつかったら気がつきましたというのが多いというのが実態である。
(3)事故を起こしたら、元も子もないことはわかっていても、魚を捕ることに一生懸命になればなるほど事故防止のほうに注意がいかないことになるのが実態である。
 漁船には、一般商船とは異なる部分がある。色々なインデントを含めて少しでも海難が減るように努力していきたいと考えている。
 
 演題2 遠洋まぐろ漁船の実情と安全対策
 講演(講師 佐藤安男氏(日本鰹鮪漁業組合連合会 常務理事))
 論点:(1)日本で食べる刺身まぐろの6割が外国のまぐろ船が捕ったものである。まぐろ漁船は、500トン未満の船に20数人が乗って1年以上も暮らす特殊な世界である。
(2)平均年齢50才、免状持ちは当然50才以上、乗船歴は、30数年である。ほとんどが好きで乗っているわけではない。決して給料が良いわけではない。漁船は、漁労長がトップの責任者である。船をどう運航するか実際の決定権は船頭という漁労長にある。
(3)漁船は、魚を捕ることが仕事である。魚を捕ることの技術が最高の技術であり、操船及び運航技術はまぐろ船にとっては、二義的な問題である。
 船の特殊性から考えて、海技資格は漁船独特のものであっていいのではないかと考えている。
(4)この15年近くまぐろ船の混乗がすすんでおり、5,000人の外国人が乗っている。安全対策として、現地にトレーニングセンターを設けて、安全衛生教育と日本語教育を行っているのが現状である。
 
第3回検討作業部会
 日時:平成15年9月19日(金)
 議題:演題1 プレジャーボートにおける安全対策のあり方
 講演(講師 久保田勝委員((財)日本海洋レジャー安全・振興協会 理事長))
 論点:(1)海難の発生隻数、船種、海難の種類・原因からプレジャーボート海難が発生する背景要因を考えると、多くの場合、通常海に慣れていない人達がマリンレジャーを気安く楽しもうとしている状況で事故を起こしている。
 それは、海上の特殊な環境、海上のルール、プレジャーボートそのものの特殊性といったものを理解、把握できていない状況で海上に出ているのが現状である。
(2)プレジャーボートでマリンレジャーを楽しむために必要な知識・技術・経験が十分でなく、マナーとかシーマンシップをあまり身につけていない状態でプレジャーボートが運航されている。
(3)海上保安庁は、プレジャーボートを楽しむ人に対しては、まず安全意識と自己責任意識を持ってもらわなければいけないと言う考え方から、安全対策のためにライフジャケットの常時着用、携帯電話持参の勧め、118番の創設等実施している。
 
演題2 CREAM(Cognitive Reliability and Error Analysis Method)手法を活用した海難調査
 講演(講師 伊藤博子氏((独)海上技術安全研究所研究員)
 論点:(1)CREAMによる分析の手順として、最初に、実際に発生した事柄を詳細に記述する。次に、Common Performance Conditionを特定し、大きなできごとの時間関係を記述する。それから、興味ある行動を全て選出する。そして、各行動に関して、エラーモードを特定する。
 次に、各エラーモードについて、関連する原因―結果リンクを見つける。最終的に全体を記述して、結論を出していく。
(2)分析例として、船舶の一衝突事件を取り上げる。これは、過去の裁決書に掲載されている事例に対して、CREAM手法を適用したもので、時系列で事象を記述したオペレーション・シーケンス・ダイヤグラムを作成し、CREAMを用いたヒューマンファクター分析について説明したものである。
(3)海難調査に適用するにあたっては、情報収集を行いながら「原因―結果リンク」をたどることで、よい分析が可能であると考えられる。
 
◇海外調査
(訪米調査)
 日時:平成14年12月16日(月)〜同21日(土)
 訪問先:米国沿岸警備隊(USCG)
 米国国家運輸安全委員会(NTSB)
 訪問者:黒田 勲 (有)日本ヒューマンファクター研究所長
  峰 隆男 弁護士(海事補佐人)
  小西二夫 (財)海難審判協会理事長
  河野峯夫 (財)海難審判協会研究部長
 調査内容:
(1)USCG及びNTSBにおけるヒューマンファクター概念による海難事故の調査・分析手法の現状について
(2)USCG及びNTSBにおける海上インシデント情報の取扱いに関する現状について
(3)海難データベースの活用とその方策について
 
 (訪欧調査)
 日時:平成15年9月25日(月)〜10月3日(金)
 訪問先:ノルウェー海事局(The Norwegian Maritime Directorate)
  英国海難調査局(Marine Accident Investigation Branch)
  英国航海学会(The Nautical Institute)
  英国サザンプトン大学(Southampton Institute)
  訪問者:峰 隆男 弁護士(海事補佐人)
  石橋 明 (有)ヒューマンファクター研究所 研究開発室長兼事務局長
  小西二夫 (財)海難審判協会理事長
  佐藤雅博 (財)海難審判協会専務理事
 調査内容:
(1)ノルウェー王国及び英国におけるヒューマンファクター概念による海難事故の調査・分析手法の現状について
(2)ノルウェー王国及び英国における海上インシデント情報の取扱いに関する現状について
(3)海難データベースの活用とその方策について







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION