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私はこう考える【ダム建設について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/05/07 朝日新聞朝刊
河川法改正は民主党案がいい(社説)
 
 長良川河口ぜきなど不必要なダムをいくつもつくり、川をコンクリートで囲って自然を台無しにした。河川行政にそんな批判が高まっているなかで、河川法の改正をめぐる審議が、きょう始まる。
 建設省がつくった政府案に対し、民主党が対案を提出し、衆院建設委員会で両案への質疑がおこなわれるのだ。
 全国でダム問題などに取り組んできた研究者と市民団体が協力してつくった民主党案は、環境維持を最優先し、住民の意見を聴き、情報を公開するなどの点で、政府案よりすぐれている。
 官僚がにぎってきた公共事業を住民の手に取り戻し、そのあり方を問い直そうという姿勢がはっきりしている。同党案ならば、不必要なダムは事前にチェックされ、いまよりずっと造りにくくなるだろう。
 公共事業の見直しは、財政の構造改革という点からも欠かせない。
 与党三党は政府案で合意しているが、本当にそれでいいのか。党派を超えて、真剣に審議してもらいたい。
 建設省が河川法を改正しようとしているのは、開発に偏った行政への反発が強まり、ダム反対運動が激化しているからだ。
 しかし、政府案の内容はおざなりだ。たとえば環境への配慮については、河川管理の目的に、従来の治水と利水に「環境の整備と保全」を追加したにすぎない。
 ダムが必要かどうかを決める「整備基本計画」は住民の意見を聴くことなくつくる。基本計画を前提にした「整備計画」の策定段階で、住民の意見を必要に応じて聴くだけである。
 今年度から始まる第九次治水事業五カ年計画は総額二十四兆円と、前の計画より四割も大きい。反発をやわらげ、全国に計画している何百というダムの建設を進める狙いが、見え隠れする。
 これに対して、民主党案は、節水の徹底や水源林の造成などの対策を実行すれば、これ以上ダムをつくらなくても水不足は起こらない、という考え方にたつ。
 そして、河川を「現在および将来の国民の共通の財産」と位置づけ、「環境への負荷は必要最小限とする」と明記する。
 また、建設省が河川を一元的に管理している現在の制度を改め、自治体のほか環境や都市計画の専門家、市民団体も入った委員会を水系ごとに設置して、そこで長期的な管理方針と具体的な管理計画を審議することにしている。
 その水系委員会は全面公開とするほか、公聴会の開催と情報や資料の全面公開を義務づける。さらに、水の利用者に対し、節水努力を義務づけ、使用の合理化を求めている。政府案にはない点だ。
 一九九〇年代になって欧米先進国では、河川政策の見直しが進んだ。米国では「ダム建設の終わり」が宣言され、フランスでは流域ごとにつくられた委員会が河川を管理するようになり、ドイツでは川の「再自然化」が目標になっている。民主党案はこうした動きから多くを学んでいる。
 それは、民主党が市民の協力を得て提案したというより、市民が民主党に働きかけて提出させた、というのが実態に近い。官庁に独占されてきた法案作成が、市民にもできることを示した意味もある。
 河川法だけでなく、阪神大震災の被災者への公的支援などについても、「市民立法」をめざす動きが進んでいる。
 河川法改正について、幅広く真摯(しんし)な議論が起これば、国会と立法のあり方にも一石を投じるだろう。
 
 
 
 
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