日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【ダム建設について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/03/03 朝日新聞夕刊
川殺しの世紀(窓・論説委員室から)
 
 二十世紀は、川を殺した世紀だといわれる。
 ほとんどの国で巨大ダムが造られ、川は堤防で囲まれた。水害を防ぎ、灌漑(かんがい)、発電、工場、水道に水を利用するためだ。
 そうした近代的な河川政策は、人びとに物質的な豊かさをもたらした半面、川漁や水運を疲弊させ、魚釣りや川遊びの場をなくした。生態系も破壊された。河川のもつ多様な価値が犠牲になったのだ。
 それだけではない。近代河川工法は渇水や水害をむしろ深刻にしているのではないか、という反省が、欧米では近年、強くなっている。
 市町村がダムに頼り、地下水など固有の水源を放棄するため、いったん渇水となると、対応が困難になる。また、川を直線にしたため、豪雨になると、中下流で流量が一気に増し、あふれ出る。
 米国では、ダム建設の終わりが宣言された。四年前に起きたミシシッピ川とミズーリ川の大洪水をきっかけに、河川政策も変更された。
 洪水をすべてなくすことは不可能との前提にたって、洪水被害をできるだけ少なくする方法、たとえば、植林によって上流域での保水機能を維持するとか、氾濫(はんらん)しそうな地域では居住を避けるとか、そうした方法を重視するようになっている。
 二十一世紀に向けた河川政策の転換である。
 日本の建設省には、残念ながらそうした意識は希薄だ。ダム建設反対運動の高まりに押され、河川法の改正を決めたが、その内容といえば、法の目的に「環境の整備と保全」を追加し、「整備計画」の作成に必要があるときは関係住民の意見を聞く、といったことだけだ。いかにもおざなりである。
 改正案が四日の閣議で決定される。このままでは、日本の川は生き返るまい。
 〈幹〉
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
222位
(28,998成果物中)

成果物アクセス数
46,070

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年8月19日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から