そうした近代的な河川政策は、人びとに物質的な豊かさをもたらした半面、川漁や水運を疲弊させ、魚釣りや川遊びの場をなくした。生態系も破壊された。河川のもつ多様な価値が犠牲になったのだ。
市町村がダムに頼り、地下水など固有の水源を放棄するため、いったん渇水となると、対応が困難になる。また、川を直線にしたため、豪雨になると、中下流で流量が一気に増し、あふれ出る。
洪水をすべてなくすことは不可能との前提にたって、洪水被害をできるだけ少なくする方法、たとえば、植林によって上流域での保水機能を維持するとか、氾濫(はんらん)しそうな地域では居住を避けるとか、そうした方法を重視するようになっている。
日本の建設省には、残念ながらそうした意識は希薄だ。ダム建設反対運動の高まりに押され、河川法の改正を決めたが、その内容といえば、法の目的に「環境の整備と保全」を追加し、「整備計画」の作成に必要があるときは関係住民の意見を聞く、といったことだけだ。いかにもおざなりである。
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