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私はこう考える【ダム建設について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/08/24 朝日新聞夕刊
ダム治水の魔力(窓・論説委員室から)
 
 中国最長の大河・長江の中流に造られようとしている世界最大級の三峡ダムについて、北京でこの夏、ダム建設事務局の副局長呉国平氏に取材して、印象的だったことがある。
 呉氏によると、ダムの目的の第一は洪水防止。第二が水力発電で、三つ目は水量を一定に保って船の航行を助けることだ。わけても呉氏は治水論に時間を割いた。
 「長江の洪水は二千年間で二百回に及んだ。十五万人が死んだこともある」「新中国建国直後の洪水では、水害後の病気などで三万人が亡くなった」
 日本では、ダムに対する反対運動が強まると、建設省がよく治水を前面に出す。人の命がからむと、ダムに反対しにくいからで、治水論は時に「魔力」のような響きを持つ。長良川河口堰(ぜき)の場合がそうだった。
 中国側が治水を強調するのは、確かにダムの目的がそうだからだろうが、米国や日本の市民グループから建設を批判する動きが出ていることと無縁ではない気がした。
 ダムは住民百十三万人に移住を迫る。『三国志』の舞台となった景観を損ない、環境を傷める。ダムが土砂で埋まる可能性も指摘されている。
 呉氏は「移転費用に四百億元(約五千億円)を使う」「景観、生態系には配慮する」「土砂もはき出す」と楽観的だ。
 三峡ダムの発端は、一九一二年に成立した中華民国の創設者・孫文が大規模な水力発電を発想したことだ。その是非について中国国内で長く議論が続いてきたのは、それだけ、ダムの得失を測りかねたためだろう。
 長江の治水自体に異論はないが、治水は、ダム以外にも山を守り、開発を抑え、堤防を強化するなど、もっと総合的に取り組むものだ。日本で何度もダム治水論の「魔力」に接してきただけに、三峡ダムにも無関心ではいられない。〈斉〉
 
 
 
 
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