「巨大ダム建設の時代は終わる」――ダニエル・ビアード氏が昨年、米国開拓局総裁として来日した時に語った言葉が、ダム問題に取り組む人々に大きな影響を与え続けている。
社民党の竹村泰子参院議員ら社民、さきがけ、自由連合の国会議員や秘書が参加する。徳島県那賀郡木頭村のダム計画に反対する藤田恵村長、長良川河口堰(ぜき)反対運動のリーダー天野礼子さんたちも加わる。
私が昨年見たその現場は、無残に山が削られ、コンクリートの基礎がやりかけのまま、工事が止まっていた。工事中断から十八年。何度も再開の動きはあったが、もはや政府が建設に動く気配はない。
ダムが完成すれば、上流七十七キロの風景が一変する。「そんなことは絶対に許さない」と、会員一万人の市民グループ「フレンド・オブ・リバー」のリーダーは強調していた。
長良川河口堰のように、いったん計画が決まれば、状況が変わっても、見直しは容易でないのが日本の公共事業だ。そうした行政に風穴をあけるよう、視察の成果を国会審議に生かしてもらいたい。〈斉〉
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