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私はこう考える【ダム建設について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/09/30 朝日新聞夕刊
20年目、苦しい決断 設楽ダム調査、町が受け入れ 【名古屋】
 
 ダム問題が転換点を迎えた奥三河の愛知県北設楽郡設楽町。豊川上流のその町は、過疎と高齢化にあえいでいる。計画発表から20年目。町民の中には反対運動への疲れもある。「ダムをてこに町の活性化を」。80戸以上の家屋が水没する計画の調査受け入れに、後藤米治町長は、苦悩の選択をした。
 町の人口、6200人余。1975年の国勢調査から比べると、1300人余も減った。水没予定戸数が最も多い川向(かわむき)地区は、75年より約40人減った。
 加えて、高齢化。この地区で暮らす約90人のうち、65歳以上の人は3人に1人の割合になる。ここはかつて、最も反対が強かった。それが変わった。
 「以前は、この土地で十分生活できたから」。そう言うのは、この地区に住む山林労働者大久保昇さん(65)。町の9割が山林。その林業は外国材に押され、今は不振だ。
 苦い表情で、こうも話す。「高齢化で反対運動をしている人が死んでしまえば、結局何も残らない。補償をもらったら、落ち着き先を決めようと思う」
 川向地区で区長を務める伊藤七郎さん(74)も計画発表当時はダム建設反対運動をしていたが、今は「しょうがない」とあきらめている。「もうわしらは年を取り過ぎてしまった」と、ため息をついた。
 町がダム調査受け入れの条件としているのは、地域振興策の資金となる「ダム基金」の創設、国道の改修。さらには、企業団地の用地確保、広域農道の整備。下流の町との交流施設建設に、町への財政支援まである。ダムは、家屋水没という町民の犠牲の上の計画。調査がただちに建設とはならないが、6項目もの条件を強調しているところに、町長のせっぱつまった思いがにじみ出る。
 その6項目にも不満があって、町の市民グループ「明るい町を考える会」(夏目喜之代表)は見直しを求めている。底流にはダムへの拒否感がある。
 「設楽地方おしどり愛護会」の伊藤仙二代表は「ダム建設でオシドリが住む環境が悪くならないだろうか」と心配する。
 ダムは上流で水をため、洪水に備える一方、下流に水を供給する。「今後も臨海部の開発などで水がいる」。豊橋商工会議所の神野信郎会頭は期待する。下流の農協幹部からはこんな声もあった。「豊川用水は、農業の生命線。ダムが動き出したことは、大歓迎です」
 
 
 
 
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