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地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書

 事業名 基盤整備
 団体名 自治総合センター 注目度注目度5


はしがき
 地方公共団体は、住民から託された税等を財源として様々な行政サービスを行っており、可能な限り住民のニーズに沿った施策を効率的かつ効果的に実施する責務を負っている。そのため地方公共団体は財政運営の効率化や健全化を図るとともに、また、その財政状況についてバランスシート等を活用しつつ住民に分かりやすい形で開示するなどの努力を行っているところである。
 
 一方、景気の低迷等に伴う地方税収等の伸び悩みや地方債残高の急増のほか、公営事業会計の実質収支赤字や不良債務の発生、地方三公社の債務保証や損失補償、第三セクターの解散、整理統合に伴う損失処理など地方公共団体の財政運営に影響を及ぼす事例が生じてきている。
 
 このような状況にあって、健全な財政運営を行うためには、普通会計の将来的な財政運営に影響を及ぼす様々な事象をあらかじめ把握し、住民、議会等に対し総合的かつ的確に財政状況を開示することが求められている。
 
 そこで、普通会計の将来的な財政運営に影響を及ぼす事象を整理・分類し財政状況を開示する手法について調査研究することを目的として、平成15年9月に「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会」を発足し、平成16年3月までの間、実務的・専門的見地から調査研究を進めてきたところであるが、このたび、その結果を報告書として取りまとめることとした。
 
 本報告書が、地方公共団体の財政運営や住民、議会等に対する財政状況の情報開示の一助となることを期待している。
 
 今回、この調査研究を実施するに当たって、ご多忙のところご協力を賜った関係者各位に対して心から感謝申し上げたい。
 
 また、本研究会は、競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて実施したものであり、ここに同財団に対して深く感謝の意を表する次第である。
 
平成16年3月
 
財団法人 自治総合センター
理事長 松本英昭
 
地方公共団体の財政分析等に
関する調査研究会
座長 今井勝人
 
地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会委員
座 長 今井勝人(武蔵大学経済学部教授)
 
委 員 泉澤俊一(あずさ監査法人代表社員)
 
大塚成男(千葉大学法経学部助教授)
 
小西砂千夫(関西学院大学産業研究所教授)
 
真田正義(東京都財務局主計部財政課長)
 
堀場勇夫(青山学院大学経済学部教授)
 
山口秀夫(横浜市水道局総務部経理課長)
 
山本 淳(みずほコーポレート銀行証券部部長代理)
 
(以上五十音順)
 
山口勝己(総務省大臣官房審議官)[H16.1〜]
 
久元喜造(総務省自治行政局行政課長)
 
赤川淳哉(総務省自治行政局地域振興課長)
 
上條 昇(総務省自治財政局公営企業課長)[H16.1〜]
 
青木信之(総務省自治財政局地域企業経営企画室長)[H15.11〜]
 
小川登美夫(総務省自治財政局財務調査課長)
 
前委員 原田正司(総務省大臣官房審議官)[〜H16.1]
 
壼井俊博(総務省自治財政局公営企業課長)[〜H16.1]
 
佐々木克樹(総務省自治財政局地域企業経営企画室長)[〜H15.10]
 
※[ ]は委員として参加した期間
 
 近年、景気の低迷等により地方税収等が伸び悩む一方で、過去の経済対策に伴う公共事業の追加や減税の実施等のために発行した地方債残高の急増により、その元利償還が財政を圧迫する要因となることなどから、地方公共団体の財政運営は極めて厳しい状況にある。さらに、公営企業会計への繰出しや公社、第三セクター等出資法人への損失補償等、普通会計以外の会計や関係団体の経営状況の悪化等により、最終的に当該団体における普通会計の財政負担を増加させる可能性も懸念されている。
 
 また、地方分権の進展に伴い、地方公共団体においては、より一層の健全な財政運営を行う必要があり、住民、議会等に対し財政状況の適切な情報開示がこれまで以上に強く要請されるが、将来的な住民負担のあり方を踏まえたうえで的確な政策決定を行うためには、当該団体の普通会計において将来的に負担することとなる事象について総合的に情報開示する必要があると考えられる。
 
 地方公共団体においては、公営事業会計や関係団体も含めたいわゆる連結財務諸表を試作することで全体像を把握することは可能となるが、一方で連結財務諸表における負債や欠損金等がそのまま普通会計の負担となるわけではない。例えば、公営事業会計については、独立採算を原則とする会計であることから、まずは経営の効率化や料金の適正化等により対処されるべきものであり、また、公社、第三セクターについては、債務保証等に係る債務負担行為限度額以上の新たな支出を義務づける法令上の根拠はない。
 
 そこで、本研究会においては、普通会計が負担することが確実な地方債などの債務に加え、将来的に普通会計において財政負担となる可能性のある要素として、債務保証等に係る債務負担行為で履行すべき事実が未発生なものや、公営事業会計、関係団体における赤字の発生など将来的に普通会計の財政運営に影響を及ぼす可能性のある事象を幅広く抽出し、それを普通会計との関係、影響の度合い等に応じて整理・分類するといった新たな視点にたって地方公共団体の総合的かつ的確な財政状況の開示を可能とする手法を研究することとする。
 
1 検討対象となる事象について
 普通会計の将来的な財政負担となる事象及びその可能性のある事象(以下、「普通会計の将来的な財政負担となる事象等」という。)としては、次のようなものが考えられる。
 
【概観図】
※1 「企業債」とは、公営企業債(地方公営企業の建設、改良等に要する資金に充てるため起こす地方債)をいう。
※2 「未済債務」とは、会計の廃止、法人の解散の場合において、その財産をもって完済できない債務をいう。
 
 地方公共団体の普通会計においては、地方債の発行に伴う元金や将来支払う予定の利息、物件の購入等に係る債務負担行為のうち物件の引渡し等を受けていないが物件購入の契約等に基づき将来負担することが明らかなもの、継続費のうち事業が未執行のものなどが考えられる。
 
 地方公共団体内の公営事業会計においては、企業債の元利償還金のうち繰出基準に基づき普通会計の負担が予定されているもの、実質収支赤字又は不良債務が発生し、経営の効率化や料金の適正化等を実施してもなお赤字等が解消されないもの、事業廃止や民営化等により廃止を予定している会計に係る未済債務(会計の廃止、法人の解散の場合において、その財産をもって完済できない債務のこと)などが考えられる。
 
 一部事務組合等、地方独立行政法人、地方三公社、第三セクター(以下「関係団体」という。)においては、地方債・企業債の発行に伴い関係団体との間で結んでいる規約に基づき当該団体の普通会計で負担することが予定されているもの、実質収支赤字や不良債務が発生し、経営の効率化や料金の適正化等を実施してもなお赤字等が解消されないもの、債務不履行等が生じ、債務保証契約又は損失補償契約に基づき弁済義務又は補てん義務が発生したものなどが考えられる。







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更新日: 2008年7月19日

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