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平成15年度 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究中間報告書

 事業名 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究
 団体名 日本航路標識協会  


4.3 機能・性能
 新マイクロ波標識に遅延合成方式を用いた場合に、現時点で実現可能と考えられる機能・性能を表4-3に示す。
 
表4-3 遅延合成方式を用いた新マイクロ波標識の機能・性能
番号 項目 遅延合成方式 備考
1 送信周波数範囲 9300〜9500MHz 現行通り
2 送信周波数安定度 ±4.5MHz以下 現行通り
3 周波数アジャイル精度 ±1.5MHz以下 現行通り
4 送信電力 受信電力+66dB(注1)
最大400mW
(ビーコンの有効範囲による)
5 送信応答遅れ 距離誤差90m以内 表示上は現行と同等
6 空中線利得 8dB以上:灯台・灯標用
3dB以上:灯浮標用
現行通り
7 最小トリガ感度 (-76dBm) -20dBmを越えると受信機飽和
(ビーコンの有効範囲による)
8 最大許容入力レベル 1Wピーク 現行通り
9 最小受信パルス幅 0.08μs 連続波およびロングパルスにも対応。
10 最大応答周波数(注2) 2.5kHz 現行通り
11 遠近判別機能 不可 パルス幅による遠近判別が出来ないため。
12 送信単位パルス幅 1μs 遠近判別不可のため固定値
13 パルス符号 任意のモールス符号を、単位パルス幅を1ビットとする16ビットで構成する。 デジタル遅延回路の構成を変更し任意のコードを発生する。
14 サイドローブ応答抑圧 不可 受信波の解析を行わず、全ての入力に対して応答するため。
15 受信阻止ゲート幅 不要 システム的に不要
16 動作/休止シーケンス 有り 低速掃引型と同等
17 イルミネーション/スタンバイ時間 不要 システム的に不要
注1)送信電力は受信電力を66dB増幅した値になる。ただし、波形は符号化などの加工が行われている。
注2)対応可能なレーダーの最大パルス繰り返し周波数を意味する。
 
(1)送信周波数範囲
 
 デジタル遅延処理で回路を実現する場合は、遅延回路そのものはレーダー周波数帯全てをカバーする事ができない。但し、受信高周波信号を中間周波信号に変換するために使用するローカル発振器の周波数を、低速掃引型ビーコンのように掃引させることで従来同様9300〜9500MHzのレーダー周波数帯をカバーできる。
 
(2)送信周波数安定度
 
 受信したレーダー波をそのまま使用するため、周波数安定度は特に問題とならない。また、ローカル発振器の周波数変動は、受信時の中間周波数へのダウンコンバートと送信時のアップコンバートに共用するため、送信波の周波数安定度に影響を与えない。
 
(3)周波数アジャイル精度
 
 受信したレーダー波をそのまま使用するため、完全な周波数アジャイルとなる。
 
(4)送信電力
 
 送信電力は、受信したレーダー波の強度に従って変化する。なお、従来のレーダービーコンと同じ有効範囲を実現するには、アンテナを除くシステム全体の利得を66dBとする必要がある。また、最大送信出力は現状のレーダービーコンと同じ400mWとすることで、従来レーダーの単純パルスに対応する場合にも同じ有効範囲を確保できる。
 
(5)送信応答遅れ
 
 遅延合成方式において応答遅れの概念はないが、レーダー指示機での表示上、現状と同等となるように調整可能である。
 
(6)空中線利得
 
 現状の空中線を想定した。但し、後述するように、遅延合成方式においては送信アンテナと受信アンテナ間のアイソレーションを確保できることがシステム実現の上で大前提となる。
 
(7)最小トリガ感度
 
 遅延合成方式において最小トリガ感度の概念はないが、現状のパルス方式レーダーの送信出力が4kWでレーダービーコンの感度が-40dBmであることを考慮すると、新方式のFM-CWレーダーの出力を1Wと想定すれば従来よりも-36dB低い信号、すなわち-76dBmの信号を扱えるシステム構成であることが必要である。
 
(8)最大許容入力
 
 新方式のレーダーは現状のレーダーよりも出力が小さくなると考えられるため、現状と同じ1Wで設計されれば十分であり、現状の設計を適用できる。
 
(9)最小受信パルス幅
 
 遅延合成における単位遅延ブロックを0.08μs以下とすれば実現できる。
 
(10)最大応答周波数
 
 遅延回路の処理帯域は、2.5kHzより十分広いため、実現可能と考えられる。
 
(11)遠近判別機能
 
 受信波の検出、解析を行わずに、単に遅延をさせて送り返すため、判別は不可能である。
 
(12)送信単位パルス幅
 
 受信波の検出、解析を行わないため、固定値となる。
 
(13)パルス符号
 
 遅延回路の構成変更によって任意の符号が発生可能である。デジタル型遅延回路の場合は、ソフトの書き換えのみで対応可能である。
 
(14)サイドローブ応答抑圧
 
 受信波の検出、解析を行わず全ての入力に応答してしまうため、サイドローブ応答抑圧は不可能である。但し、入力レベルが小さく、線形性が保たれている領域においては入力レベルに応じた出力となるため、従来よりも影響度が少ない可能性がある。
 
(15)受信阻止ゲート
 
 システムとしてはこの機能は不要である。
 
(16)動作/休止シーケンス
 
 入力波を遅延させて単純に送り返すだけのため、そのままでは動作/休止シーケンスをもたせることはできない。但し、ローカル発振器を掃引させているため、従来の低速掃引型のような応答の間欠応答性を持たせることが可能である。
 
(17)イルミネーション/スタンバイ時間
 
 この機能は、従来の周波数アジャイル型レーダービーコンにおいて、一旦ロックされた周波数の解除のために必要な機能であり、遅延合成方式ではシステム的に不要である。
 
(18)その他
 
 遅延合成方式のレーダービーコンについて、レーダー指示機での視認性の観点から検討を行った。
 図4-14は従来のレーダービーコンにおけるビーコンの動作とレーダー指示機上での強度である。従来のレーダービーコンは、レーダーからの受信波が-40dBmを超える場合に、400mW一定の出力を送信する。従って、同図のように距離9NM以下の場合に受信レベルが-40dBmを超えることからビーコンが応答し、この距離では100m2の物標(中型の船舶に相当)からの反射波のレベルを超える強度でレーダー指示機に表示される。
 一方、遅延合成方式で回路の利得を66dBとした場合には、図4-15のような特性となる。受信回路や送信回路の飽和特性にもよるが、レーダーでの受信レベルは従来のレーダービーコンのものとほとんど変わらない特性を示す。
 さらに、1WのFM-CW波レーダーを仮定した場合の特性を図4-16に示す。同図のように、この場合も100m2の目標を超える強度でレーダー指示機に表示されることがわかる。なお、近距離においては、従来のレーダービーコンよりも強い強度として指示機に表示される事になることから、強度が冗長となる可能性もあり、この点についてはさらに検討が必要である。







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