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(3)符号化レーダーの概要
 前節に示したパルス圧縮方式およびFM-CW方式のようにパルス内や送信波を周波数変調するものに対して、符号系列(コード)により離散的に位相変調を行い、受信時に符号系列の相関処理によりパルス圧縮や測距を行う方式のレーダーを符号化レーダーという。符号化によってパルス圧縮を行うものを「符号化パルス圧縮レーダー」、連続波の変調を符号で行うものを「符号化CWレーダー」と呼ぶ場合もある。
 
図1-10 バーカコードの例
 
 符号化レーダーに使用できるコードは自己相関関数が一定の条件を満たす必要があるが、その条件を満たすコードとして「バーカコード」が知られている。図1-10は13ビットのバーカコードの例であり、+は0の位相、−はπの位相を示している。このコードを図1-11に示すような圧縮器で処理を行うと、図1-12に示すような圧縮波形が得られる。このコードの特徴は、圧縮したときのサイドローブレベルがコードのビット数の逆数になることであり、コードが長いほどサイドローブレベルは小さくなる。しかしながら、このコードは表1-2に示す種類しか発見されておらず、13ビットコードでもサイドローブレベルは-22.3dBである。また、物標が移動してドプラ効果が存在する場合にはサイドローブレベルが劣化しやすい等の問題点もあり、これらを改善すべく様々な研究が進められている段階にある。
 
図1-11 バーカコードの圧縮処理
 
図1-12 圧縮後の波形
 
 なお、この他のコードとしてはM系列コード、フランクコード等もあり、さらに2値以外の多値符号などを利用する方法や、複数の符号系列を組み合わせる方法なども検討が進められている。
 符号化方式は、昨今のデジタル処理技術の飛躍的発達と相俟って今後のレーダー方式の主流となりうる可能性も秘めており、その動向を注視する必要がある。
 
表1-2 バーカコードの種類
コード長 コード サイドローブレベル
2 0π, 00 -6.0dB
3 00π, -9.5
4 00π0, 000π -12.0
5 000π0 -14.0
7 000ππ0π -16.9
11 000πππ0ππ0π -20.8
13 00000ππ00π0π0 -22.3







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