日本財団 図書館


[知識の教授が必要だから]
・特別支援教育に移行するにあたり、受講者に対して障害の特性について理解させるだけでなく、その具体的な指導方法にまで踏み込んで理解させる必要があると考えるため。
・阪神間においても現在、通常の学級に障害のある児童・生徒が在籍しているために全ての教員が障害児教育に関する一定の専門知識を有していた方が望ましいため。
・例えば手話など情報障害に関わる対応についてコースにきちんとした形で取り入れる必要を感じている。
・障害を持った児童の就職率、医療的ケアー、個々の児童の障害の内容と障害程度が十分に把握されていないと、適切な指導が実践できないと思われる。その考えは、障害とは何か、障害発生要因、障害を持った児童生徒の個性を教員を目指す学生に教育すべきだと考えている。
・特別ニーズを必要とする子どもたちが多いと言われる時代であり、そうした学びを教職科目に置いても保障していかないと将来、学生が教職に就いたときに対応できないと思われる。
・高機能自閉症、アスペルガー障害、学習障害、注意障害等疑われる児童、生徒のための特別教室やカリキュラムは現在の学校制度の中では十分整っているとはいえない。普段学級の中で生活し、いじめの対象になったり教師から叱られたりして不登校になる場合もある。教師はこれらの障害をもっと理解しなければいけないと考える。
・教育系学部(学科)ではないので、教職免許については関心が薄い様に思われる。これでいいのかと常に感じている。
・障害児教育に関わる情勢の変化に伴い、今後は「特別支援教育」への転換を図ることが求められている。この中で支援の場が居住する地域へと広がることになるので教員は全て多少なりとも障害児教育に関する知識や技能を持つ必要がある。質的に障害が多様化・複雑化し見分けにくくなっている。
・個に応じた障害児教育の考え方は教師の基本的な考え方として重要である。
・障害児と実際に交流したことの無い学生がほとんどなので、現実感のある理解をもたらす教育が難しい。介護等体験に送り出すときなど大丈夫かと不安が残っている。
 
[その他]
・前回の免許法改正までは、教育科目に(障害児童生徒の理解)という科目があり、障害児教育講座と心理学講座が担当していたが、カリキュラムの見直しで発達心理学に含めて行うこととなった。教育実習の事前指導において、半日附属養護学校の参観実習を行っている。これは、非養成過程の学生も教員免許には義務としている。
・現場で求められる障害児教育に関する知見に十分対応していない。
・介護等体験のための事前オリエンテーションを行い、外来講師の方をお招きして講演を行っているだけにとどまっているため。
・法律上の必要最低要件をクリアしているのみである。
・充分検討されていない。
・複数担当者間での内容のすり合わせができていないので。
・半期の教育心理学の枠内では、障害児教育に関して十分な時間を使うことができない。
・現在は、介護等体験の事前指導の授業を必修としており、その中で、障害児関連の内容を扱っている。
・コミュニティ福祉政策学科の専門科目との連絡が、まったく取れていない。今後の課題である。
・通常の小・中・高の資格を取得するにしても統合保育を考える上でも障害に対する理解は不可欠である。また、本学はユニバーサル、デザインで設計されており、デザイン学部では、そのような内容の授業もあるのに、教職との関連が理解されていない。
・本学は設立4年目に当たるのでまだカリキュラムの見直しは考えていない。
・教職科目全体が学部の科目に押されて時間割に収めること自体が困難。また、教職科目が卒業単位として認定されていないため、学生に過重な負担がかかっている。従って軽々しく障害児教育科目を上乗せ出来ない状況がある。
・単独で科目を設定しておらず、科目の一部として開講しているから。
・本来であれば、もう1科目ぐらい障害児関連の科目を設置したいところだが学生の負担等財政面の問題から足踏み状態のところである。
・現在の科目(教養特別講義)が、(1)教職科目を履修する学生にも選択となっていること、(2)工学部ではバリアフリーなどの関連、(3)法学部では人権の観点から受講するなど、狙い、目的の巾が広汎であるため、教職に視点を集中する事が困難であるため。今後工夫していきたいと思っている。
 
e)全く無し大学の「大変満足」「ある程度満足」の理由
[カリキュラムが過密なので仕方ないから]
・原則として、小中両方の免許状を取得させているため、カリキュラムが大変窮屈で、障害児関係科目を入れるのが困難である。
・本学は理工学部のため、カリキュラムが過密であり、教職科目については法的な最低限度の科目、時間数しか設けられない。これ以上内容を増やすのは不可能である。
 
[教職科目以外で実施しているから]
・C大学と協定しており、希望者は障害児教育関連科目を受講できる。
・本学では教職科目ではなく、教免法上の「教科又は教職に関する科目」として「障害児教育論」を開講しており、教職免許取得対象者向けに障害児に対する理解を深める教育を行っている。
・本大学では中学校の教員免許の科目として社会福祉施設などで介護などの体験実習を行っている。
・教職科目としてではなく、専門の選択科目として複数科目開講している。従って教職課程の履修の有無にかかわらず、障害児教育関連科目を多くの学生が受講している。
 
[その他]
・開学4年目の新設校であり、卒業1期生も未だ卒業前の現在は、商業科目の設定状況をトータルで検討できる時期に至っていない。課程認定申請時に満足のゆくカリキュラムで申請し認定を受けている。今後学部のカリキュラムを検討する際に、教職課程科目の内容も検討される見込みである。
・本学部(社会福祉学部)では、教職課程履修者に対して基礎免許と養護学校教諭の両方の免許取得を指導しており、基礎免許だけではなく、養護学校教諭の免許も併せて取得している。このため、障害児教育については充分な教育を行っている。
・今後の取り組みである。
・障害児教育科目の設定は、重要であるが現状では、設置は困難である。
・「情報(高校1種)」の免許取得が可能なのだが、現状として採用が期待薄であり、そういう中、学生に障害児教育関連科目の負担を増す事は酷である。ただ、現場において障害児教育関連科目の履修は重要である事は認識している。
 
f)全く無し大学の「多少不満」「大変不満」の理由
[介護等体験のために必要だから]
・介護体験で附属養護学校と施設に行くので、障害児教育関連科目の勉強は非常に大切なためである。
・介護等体験に関連して、障害児教育に対する理解を深める必要がある。
・(理工学部) 介護体験等によりこの関連への興味を持つ学生の芽を育むことができないため。
 
[教員が不足しているから]
・従来、障害児教育関連科目としては「特殊教育の研究」という科目を教職科目の中に開設していたが、前回の免許法改正に伴う(再)課程設定の際に廃止した。理由は、その関連科目を担当できる専任教員がなく、非常勤講師に依頼していたのだが、その予算を他の科目に充てる必要があったため。
・これまでスタッフ不足の関係で全く障害児関連科目を設置していないが、このままでいいというわけにはいかない。これから検討していきたい。
・専任の教師がいない。
・障害児教育を専門としない教員(臨床心理学専攻)が担当している。
 
[教職科目以外で設定されているため]
・教職科目の中に必修科目として障害児教育関連科目を位置づけたい。ただし、障害児教育教員養成課程の障害児教育関連科目を他の課程の学生が受講することは可能である。
・福祉系大学だから、障害児関連科目がある。しかし、教育というより福祉という枠の科目である。したがって、教育的視点は必ずしも十分ではない。
・教職科目ではなく、共通科目に今年度から「障害児教育」を設定したが、教職履修者が必ず履修するかは未定である。今後、履修するような方向付けが検討されるべきであろう。
・教職科目ではないが、学科の専門科目として障害者心理学を開講しているが、全ての教職履修者が受講するわけではないので、将来教職についたときのことを考えると教職課程を履修するものは授業の一環としてでも障害児に関する内容を取り入れたものを開講した方が良いのではないかと思う。
 
[その他]
・条件が許せば、そういう科目の開設も考えていきたい。
・現状、教育学部の専門科目(教科に関する科目に選択)に「障害児教育」と言う科目が配当されているが、今後関連科目を設定していく必要性はある。
・今後可能であれば設定していきたいと考えている。
・検討が必要である。
・本学は高等学校の理科と農業の免許状が取得可能である。障害児教育関連科目については設定する必要はあると考えているが、本学では開講できないのが現状である。
・ノーマライゼーション社会の実施をめざすこと、あるいは「特別支援教育」を推進するという観点に立てば、教員をめざす者には誰でも、障害児教育の概論は学んでおくべきと考える。
・本学は、障害児教育に関連している科目がほとんどないので、設定の必要性は感じているが、現状はなかなか厳しい状況である。
・現行の免許法では全く触れることがなくてよいことになっている。何かの科目で含める等の方策はあってもよい。但し、新たな科目を設けて単位数を増やすことは好ましくない。
・学生の関心を向けるのに科目を設定したほうがよいと思われる。
・「福祉システム工学科」があるにもかかわらず、標記のような関連科目がない。
・通常学級においても、特別に配慮が必要な児童生徒が存在しており、教職科目に設定するのが望ましい。
・現在高等学校教員養成課程のみであるが、中学教員の課程も一部教科ではあるが申請中で、上記関連科目についても考えたく思っている。
・本学には音楽療法コースがあり、その中では障害児に関する科目の設定がされているが、教職科目は全く無いのが現状である。養護学校へ就職していく学生も居り、これでは心配である。
・障害児教育についてある程度の知識は必要である。
・障害児教育関連科目の必要は認識しているが現状そこまで手が回らない。
・教職についた後、養護学校に赴任することもあり、ある程度は取り上げるべきだと思う。
 
4. まとめ
 本調査の結果、「発達・学習」において障害児教育関連科目を必修化しなければならないとする規定に厳密に従うと、約4分の3の大学が法令違反の状況であり、特に、小学校課程がない大学においてこの点が顕著であった。また、科目が設定されていても、一部でしか障害に関する内容を扱わない科目が全体の4分の3以上を占めていた。加えて、その内、障害の内容に配分されている時間が2割以下という科目が6割近くを占めており、量的・質的に不十分な状況であることが認められた。このような実態にも関わらず、大学関係者の意識を低く、見直し作業を行っていない大学や、現状で良しとする大学が多かった。今後は、教育職員免許法における義務内容、すなわち、障害児教育関連科目を、教職科目の中の「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」において必修として設定すべきことを、行政側から各大学に早急に周知徹底すべきである。







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